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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_208

『9割の日本人が知らない「日本語のルール」』(佐々木瑞枝、中経出版:2012、5、5第1刷・2012、7、8第3刷)

表紙は、銀色の地に赤い丸。その赤い丸の中にタイトルが記されているが、当然「日の丸」をイメージしたのだろう。

佐々木瑞枝先生と言えば、外国人に日本語を教えるプロで、日本語を客観的に外から見るプロ。これまでに50冊以上の著作があるそうだ。そのうちの何冊かは私も読んでいる。

よく似た二つの言葉の意味の違いと使い分けを「50例」取り上げている。イラスト入りで書かれているので、精読しなくてもパラパラっと読めば内容はわかる。ということで読みやすい。

一応、言葉の専門家という立場にある私としては「9割の日本人知らない~」の「9割」には入らず、残りの「1割」に属するのだと思うが、それでも「へえー、知らなかった!」ということがいくつもあった。

たとえば、「漢字には三種類の音読みがある」で、「呉音(5~6世紀、中国南方から朝鮮の百済を経由して伝わった)」「漢音(8~9世紀、中国の長安の音が遣唐使によって伝わった)」「唐音(13世紀、禅僧が日本にもたらした。特殊な音が多い。例:「行脚」「布団」「暖簾」など)」ということは知っていたが、

「呉音=mは、漢音のb」(例:「文」→「呪文」=呉音、「文学」=漢音)

「呉音=nは、漢音=d」(例:「内」→「社内」=呉音、「境内」=漢音)

「呉音=bは、漢音=h」(例:「平」→「平等」=呉音、「平和」=漢音)

「呉音=nは、漢音=z」(例:「然」→「天然」=呉音、「自然」=漢音

という発音上の区別は知らなかった。特に一番上の「呉音=mは、漢音のb」は、「ん」の音が、日本語では3種類ある、と言われるのは、つまりこれではないか!?と気付かせてくれた。大変、勉強になりました!!


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(2012、11、14読了)

2012年11月18日 10:43 | コメント (0)