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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_112

『「オウム真理教」追跡2200日』(江川紹子、文藝春秋:1995、7、20第1刷・1995、9、25第8刷)

 

6月に入って菊地直子容疑者が逮捕され、その後も逃亡を続けた高橋克也容疑者も逮捕されるに及んで、一旦関連の裁判が終結していたオウム真理教に対する注目がまた高まってきた。地下鉄サリン事件から17年、松本サリン事件から18年、さらに坂本弁護士一家拉致殺害事件からでは23年という長い年月が経った。当時のことを知らない記者も増えた。地下鉄サリン事件の直後の4月に入社した人たちが、もう40歳になるのだから、当然と言えば当然。当時、既に報道の仕事をしていた私たちでも、もうかなり当時の記憶が薄れている。

オウム真理教とはなんだったのか、どういったことを起こしたのか。なぜそういったことが起きたのかを考える上で、やはり基礎の情報をもう一度おさらいしておく必要がある。そう考えて本棚を探したときに出てきた一冊が、この本。500ページを超える本書を、当時は、買ったもののちゃんと読んでいなかった。読まなくても、日々テレビで見る江川紹子さんの話を聞いていれば、わかった。しかし改めて当時の記憶の糸を手繰り寄せるためには、読むべき一冊である。

オウムに家族を"取られ"て、家族を取り戻したいと訴える人と坂本弁護士を引き合わせたのは、江川さんだった。その贖罪の気持ちが、江川さんをオウムとの対決に向かわせた。しかしそんな彼女も、1989年の事件発生後1~2年は、『週刊文春』誌上などで徹底的にオウムの謎を暴き、坂本弁護士一家の行方をたどろうとしたが、その後数年、この本では論文(記事)が出てこない。次に出てくるのは1994年、「松本サリン事件」「宮崎資産家拉致事件」が起きてからである。それもまた、江川さんの罪の意識を刺激した。序章の「オウム真理教と私」を読むと、そのあたりの心理状況も読み取れる。

オウム真理教がいかにその姿を変えて行ったかも、詳細な当時の記録を追うことで、見えてきたように感じた。

 

(2012、6、25読了)

(☆4つ)


star5

2012年7月 5日 11:40 | コメント (0)