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『道浦TIME』

4580「『ひ』と『し』」

 

元NHK・松平定知アナウンサーの著作『心を豊かにする言葉術』を読んでいたら、半藤一利さんとの間でこんな会話が出てきました。

 

(松平)私のアナウンサーの二年先輩に江戸っ子がいまして、「ひ」と「し」がどうしてもダメでね。「旭東小学校」を「あさししがひひょうがっこう」。完璧に「ひ」と「し」が逆転していました。「失礼いたしました。さっき言ったあさひはあさしの間違いでした」なんて。どっちが正しいのか、聞いているほうは分からなくなっちゃう()

 

(半藤)私も言いづらいです。「しらひげばし(白鬚橋)」これが言いにくくてね。今は意識しているから言えますが、普段だと「ひらしげばし」ってなっちゃう。

 

東京の人、江戸っ子は、「ひ」と「し」の区別が付きにくい、というのはやはり本当なのですね。江戸っ子の芸能デスク・石川敏男さんも、「ひ」と「し」の区別は付きません。

そうこうしていて、去年(2011)1217日、NHKラジオ第一を車の中で聞いていたら。三遊亭円歌師匠の落語・・・というか漫談というか・・・放送していました。円歌さんは江戸っ子ですが、若い頃は「吃音症」だったそうです。そして「噺家」になる前は「国鉄の職員」、車掌をしていたとのこと。そのときの「車内アナウンス」の様子をやっていました。それが、

「次は・・・ひひひ、新大久保」

というものでした。「しんおおくぼ」なのに「ひ」なのか!?「ししし」ではないのです。駅名の「新大久保」は、ちゃんと「しんおおくぼ」と言っていました。「ひんおおくぼ」ではなく。不思議だなあ。

そのほか興味深かったのは、「どさ回り」と言っているのもそのまま放送していたなあ。また、何年か前に円歌さんは出家して日蓮宗のお坊さんなのですが、

「南妙法蓮華経」

仏壇の前で唱えていると、後ろでお年寄りたち(円歌さんの高齢のご両親たち)が、

「なんまいだぶ(南無阿弥陀仏)、なんまいだぶ」

と唱えているという小話をしていました。宗派が違うだろ。

宗派が違うといえば、家の近くの仏具屋さんで、12月になると売っているタぺストリー(壁掛け飾り布)、あれは、いけないと思う。絵柄が、

「クリスマス・ツリー」

なんです・・・。仏具屋さんなのに。

 

(2011、1、17)

2012年1月24日 18:53 | コメント (0)