Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2011_142

『「患者様」が医療を壊す』(岩田健太郎、新潮選書:2011、1、25初版・2011、5、20第5版)

 

著者は1971年生まれとまだ若いが、アメリカ・中国の病院での勤務経験も持つベテラン医師。かなり「挑戦的」なタイトルに引かれて買ったが、売れているようだ。出版から4か月で5刷。「新潮選書」という「固い」本だが、中身の文体は思いのほか「軟らかい」。つまり、読みやすい。「です」「ます」調の語りかけ口調の文章が、なじみやすい。

本書は1~3章で構成されており、シンプル。3章はいわば「まとめ」にあたるので、実質「2章」だと思っていい。そして親しみを持って「フムフム」と読めるのは「第1章」。「言葉は大事」と言いながら「言葉なんてコミュニケーションの道具にすぎない」とすぐそのあとに書いたりして「どっちやねん!」と言いたい部分もあるが、つまりはその両方が「本当」ということなんだろう。ちょっと「軽い」ので、「どうかな・・・」と思う部分もあるが、総じて読みやすく、「医療」「治療」のためには「患者様」という呼び名で示すような「サービス業」ではダメなのだ、患者と医師が協力して"対等"であらねばならぬという主張が透けて見えてきた。(☆4つ)


star4

(2011、7、30読了)

2011年8月 7日 12:32 | コメント (0)