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『道浦TIME』

新・ことば事情

4386「復興基本法の文章」

 

東日本大震災の「復興基本法」が成立しました。その文章が、6月21日の読売新聞・朝刊に載っていました。「第1章総則(目的)」の「第1条」を読むと、こう書かれていました。

 

「この法律は、東日本大震災が、その被害が甚大であり、かつ、その被災地域が広範にわたる等極めて大規模なものであるとともに、地震及び津波並びにこれらに伴う原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において我が国にとって未曽有の国難であることに鑑み、東日本大震災からの復興についての基本理念を定め、並びに現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現に向けて、東日本大震災からの復興のための資金の確保、復興特別区域制度の整備その他の基本となる事項を定めるとともに、東日本大震災復興対策本部の設置及び復興庁の設置に関する基本方針を定めること等により、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ることを目的とする。」(329字)

 

うーん、わかりにくい!

なんと329字の間に「。」(句点)が「1つしかない」のです!声に出して読むと、

「お経を唱えているような感じ」

です。もっとわかりやすくできないか?少し「。」を増やして読みやすくしてみました。

 

「この法律は、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ることを目的とする。今回の東日本大震災は、被災地域が広範囲にわたることや被害の甚大さ、また地震と津波によって原子力発電施設の事故まで起こるという、我が国にとって未曽有の国難である。そこで復興についての基本理念を定め、現在・将来の国民が安心して豊かな生活を営める経済社会の実現を目指す。そのための資金の確保、復興特別区域制度の整備など基本事項や、東日本大震災復興対策本部の設置、復興庁の設置に関する基本方針を定める。」(249字)

 

「。」が「4つ」になって文字数も329249字」と「4分の3」になりました。だいぶわかりやすくなったと思いますが、でもまだ、なんか硬い。

もっと「話し言葉的」にするとどうなるか?やってみました。

 

「今回の東日本大震災は、非常に広い範囲に甚大な被害をもたらしました。また地震と津波によって原子力発電所の事故まで起こるという、これまでの日本が経験したことのない災難です。この法律は、その大震災からの復興を円滑・迅速に進め、活力ある日本が再生することを目的としています。そのためにまず、復興の基本理念を定め、今と未来の国民が安心して豊かに生活できる経済社会を造ることを目指します。そして資金を確保し、復興特別区域制度を整備し、復興対策本部と復興庁設置の基本方針を定めます。」(235字)

 

いかがでしょうか?これでずいぶんスッキリしましたね。

最初からこう書いたらいいんじゃないの、法律も。わからなきゃ意味がないんだから。

あ、でも弁護士さんが失職するかな?

 

(2011、6、21)

2011年7月12日 21:01 | コメント (0)