Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

4314「未利用魚」

(ちょっと古いんですが・・・書きかけがいっぱい残っていて・・・)

20109月7日の日経新聞に、

「未利用魚の活用」

という言葉がありました。この、

「未利用魚」

というのは、あまり見慣れない言葉です。漁業業界では「当たり前の言葉」なのでしょうか?Google検索(223日)したら、

「未利用魚」=8万3200

おお、意外と使われておるな。Yahoo辞書」というサイトによると、あの新語アナリストの亀井肇さんが、去年(2010年)の221日に書いてらっしゃるではありませんか!

 

「未利用魚(みりようぎょ)」-ビジネス-

漁で捕れても市場で販売する規格としてはサイズが小さかったり、消費者にあまり知られていないために商品価値が低く市場に出回らない魚。日本の年間漁獲魚量のうち約30%が市場に出回らないで捨てられたり、一部の地域だけで食べられている。こうした一般的に利用されていない魚を有効活用しようという動きが、大手水産会社や食品メーカーに出てきている。マルハニチロホールディングスの場合は、捕った小魚などをすり身にし、魚肉ソーセージやつみれ、さつま揚げなどの練り製品に加工して販売を開始。ニチレイフーズは京都府舞鶴市の京都府漁業協同組合連合会と組んで、水揚げしたアカガレイなどを空揚げや煮付けに加工し、京都府内の学校給食向けに供給する。丸紅は、国内外の食品メーカーとアラスカ沖で捕れるアラスカガレイを使った商品開発を始めている。 

[ 新語探検 著者:亀井肇 / 提供:JapanKnowledge ]

 

ふーむ、やはり業界では使われている言葉のようですね。

しかし、これをみて私が思い浮かべたのは、『新明解国語辞典』の「うなぎ」の説明です。以前の山田忠雄さんの記述(第4版まで)断定的に、

「かば焼にして食べる」

と書かれていました。(今の第6版は「多く、かば焼きなどにして食べる」とずいぶんニュアンスが弱められましたが・・・)

それと同じで「未利用魚」も、魚にとっては迷惑な表現ですよねえ・・・。人間って、勝手だなあ。

(2011、2、23)

2011年2月26日 18:56 | コメント (1)

コメント

水産総合研究センター 開発調査センター(旧・海洋水産資源開発センター)のサイトに、「開発魚」のデータベースがあります。
http://jamarc.fra.affrc.go.jp/kaigyo/kaigyo.htm
従来利用されていなかった魚種を、新たな水産資源として「開発」したものです。
自然界が創り出した生物の命を、「開発」などとあたかも工業製品のように…。

投稿者: 西尾@川崎 日時:2011年02月27日(日) at 17:42