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『道浦TIME』

新・ことば事情

4261「押○○○さい」

よく行くコーヒショップ(カフェ)の入り口の自動のガラスのドア(横開き)。その、普通だと取っ手にあたる位置に付いている、自動扉の押しスイッチにあたる部分に、

 

「押    さい」

 

という文字が。「押」と「さい」の間には文字が書かれていたのでしょうが、かすれて読めません。当然これは、

 

「押してください」

 

だったのでしょうが、その、

「してくだ」

の部分、つまり「スイッチの真ん中」を、客が何度も何度も押している間に擦れて消えてしまったのでしょう。

それでも、一番上の「押」という漢字が残っているので、その機能・指示を示すことができています。

そこから考えると、そもそも「押してください」の「してください」は要らなかったのではないか?「押」だけでよかったのではないか?とも思います。

しかし、もし「押」だけであると、客はその「押」の文字のところを押すから、「押」という文字が擦れて消えてしまい、どこが押しボタンなのかわからなくなっていたかもしれない。そう考えると「押してください」と書いてあった方がよかったのかもしれない。

「ありがとうございました~」

という店員の声を背中に、かすれた文字を見つめてそんなことを考えながら、かすれて消えている部分を押して店の外に出たのでした。押忍!

 

 

(追記)

あれから半年。またこのカフェに行ったところ・・・ついに「押」が消えかかって

「さい」

だけになっています!しかも「さ」は、かろうじて下の部分が見えるだけ、完全な形が残っているのは、

「い」

だけです。そもそも文字がなくても大丈夫ではないのか?と思いつつ、今後に注目です!

(2011、7、13)

 

(追記2)

8月23日、ついに「押」も消え、「さ」も消えました。そのボタンに残っている文字は、

「い」

だけになりました!しかしそれでも「押しボタン」としての機能は失われていません。

ということは・・・、

「最初から『い』だけでも良かったのではないか?」

という疑問が浮かびます。いや、しかし最初に「押してください」と書かれていたからこそ、その後も字が消えても「学習効果」として、ボタンの機能は保たれているのだ、とも言いえます。そのためには「最初から『い』だけでよい」とは言えませんね。でも・・・一文字、ということで言えば、

「押」

だけでも良かったのではないか?という気もします。いや、それではお客様に失礼である。「押してください」と依頼する形だからこそ、いいのだ・・・それなら現状の「い」はどうなるのか?依頼する形を保たないのはお客様に失礼ではないのか?

うーん、でも最初から「押」だけでと、そこを押すことによって文字が消えたら何も残らない。その点「押してください」という7文字なら、消えるのに7倍以上時間がかかり「経済的」である、ということも考えられる。というように、自問自答してみました。

ともあれ、今後は「い」がいつ消えるのか、そしてそのあと、店側は、いかなる対応を取るのか?というところに、興味は絞られてきたのでした。

 

 

 

(2011、1、10)

2011年1月10日 21:08 | コメント (0)