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『道浦TIME』

新・ことば事情

4219「徐行」

11月16日の日本経済新聞に、

「JR西 徐行区間、時速100キロ~姫路で55キロ超過 寝台特急 確認怠る」

という見出しがありました。記事を読むと、

「線路工事に伴い制限速度が45キロに設定された徐行区間(約295メートル)を、上り寝台特急『サンライズ瀬戸・出雲』が時速100キロで走行した」

とのこと。危ないですね。私が注目したのは、この、

「徐行」

「設定速度」です。ここでは、

45キロ」

というのが「徐行」なんですよね。日本新聞協会の新聞用語懇談会放送分科会編『放送で気になる言葉・改定新版』60ページには、こんな項目があります。

120キロの徐行」

内容を読んでみると、

「JRで『ひかりが120キロの徐行運転』と発表した。これも内部用語だ。『120キロまでスピードを落として』でよい。」

とあります。たしかに、120キロ」は「徐行」とは言えません。

「普段は300キロ出しているから、それとくらべると『徐行』」

という論理は「内部」のもの一般的とは言えない、ということを書いてあるのです。それとくらべると、

45キロの徐行区間」

は、まだ納得できますが、普通「45キロ」といえば、車でいうと普通の道路の制限速度よりちょっとゆっくりなぐらいで、「徐行」とは言えない。そもそも「徐行」を辞書で引くと、

「(車両などが)ゆっくりと進むこと」(『広辞苑』)

「鉄道車両・自動車などが、速度を落としてゆっくりと進むこと。」(『明鏡国語辞典』)

「ゆっくりと親交すること。多く、鉄道車両や自動車などが、ただちに停車できるような速度で進むことをいう。」(『精選版日本国語大辞典』)

とあります。最後のところ、

「多く、鉄道車両や自動車などが、ただちに停車できるような速度で進むことをいう。」

に注目。「ただちに停車できる速度」というのは、免許を取りに行った時に教習所の先生が言っていた言葉と同じです。それで言うと、45キロはどうなのかなあ」とちょっと思いました。

「徐行」の概念が、自動車と電車では、ちょっと違うのかもしれませんね。

 

(2010、11、22)

2010年11月26日 18:15 | コメント (1)

コメント

道浦さんどうも。僕もこのニュースを聴いたときドキっとしました。サンライズ号は東京行きは大阪にも停車(午前0時30分頃)し寝台車(全室個室)と座席車(ノビノビ座席 フェリーの2等に近いごろ寝式)があり、廃止になった急行銀河号の代替列車でもあります。高松、出雲から東京行きです。安全運転お願いします。ではまた。

投稿者: ハロー10チャン 日時:2010年11月26日(金) at 20:24