Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

4067「福岡県で生誕」

 

劇作家のつかこうへいさんが亡くなりました。その訃報を伝えるニュースで、つかさんの軌跡をたどっていたら、こんな言葉が出てきました。

「福岡県で生誕」

え?「生誕」・・・「生誕」はオーバーじゃないか、ここはやはり、

「福岡県で誕生」

でしょう。たしかに「生誕」と「誕生」は、漢字が入れ代わっていても「同じ意味」です。しかし、この言葉を、

「誰に使うか?」

という点では違いがあります。「誕生」は誰にでも使えますが、「生誕」は、

「歴史的な偉人(=完全に過去の人)」

にしか使えません。つかさんは、もちろん偉人ですけど、まだちょっと過去の人になるには早い。そう感じて国語辞典を引いてみたのですが、あまりそういうふうには書かれてはいませんでした。調べた中では、『明鏡国語辞典』が、

「ふつう偉人などについて使う」

『岩波国語辞典』には、

「多く、偉人などについて言う」

と書かれていました。たしかにふつうは、

「山田君の所に、女の子が"生誕"したそうだよ」

とは言いませんもんね。

(2010、7、15)

2010年7月16日 10:21 | コメント (1)

コメント

生誕と誕生についてネット検索中、jumpして参りました。
記事、参考に致します。ありがとうございました。

投稿者: kitayamasugi 日時:2010年08月12日(木) at 03:56