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『道浦TIME』

新・ことば事情

3912「キセル」

 

3月30日のお昼のニュースで、大阪の高校の教頭宅から大麻が見つかった事件で出てきた言葉が、

「キセル」

でした。このアクセントは、もちろん「平板アクセント」で、

「キ/セル」

ですが、入社2年目(もうすぐ3年目)のHアナウンサーは、

「キ\セル」

「頭高アクセント」で読んでいたので、びっくりしました。きっと、知らないんだ「キセル」という「もの」も「言葉」も・・・。

そこで、 念のため、アナウンス部員全員にメールしました。

「『キセル』のアクセントは、

×「キ\セル」→○「キ/セル」(平板アクセント)

漢字で書くと「煙管」。タバコを吸う道具です。「吸い口」と、「先っぽのタバコの葉を詰めるところ」が「金属」。「先っぽ」は、鳥の「雁(ガン)」の首に似ているから「雁首(ガンクビ)」と言います。そして、それを繋ぐ部分は「竹」。この「竹」の部分を「ラオ」あるいは「ラウ」と言います。漢字で書くと「羅宇」。この竹は「ラオス」から来た竹だったので、「ラオ」(なまって「ラウ」)と言ったんだそうです。(『広辞苑』による。)

この「ラオ」の部分が詰まったときに掃除をする仕事の人たちがいました。それが「ラオ屋」。もちろん、これらの大部分は「死語」ですが、古典落語には出てきます。

なお、

「最初と最後だけ金(金属)があって、真ん中はない」

ところから、最近まで生きていた言葉としての「キセル」は、

「電車に乗る際に、入るときと出るときの切符(あるいは定期券)だけを持っていて電車に乗り、真ん中の運賃を払わないという方法」

を指しました。最近のように「入口」も「出口」もしっかり磁気カードで管理されるようになってからは、この「キセル」と呼ばれた不正乗車方法も、「死語」になっていますね。」

 

これで次回は、ちゃんと読んでくれるかなあ・・・。

(2010、3、30)

2010年3月31日 12:45 | コメント (0)