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『道浦TIME』

新・読書日記 2009_193

『バカ丁寧化する日本語~敬語コミュニケーションの行方』(野口恵子、光文社新書:2009、8、20)

著者は日本語・フランス語教師で、以前『かなり気がかりな日本語』という名著を、同じ集英社新書から出している。「かなり気がかり」だった日本語は、あれから数年を経てどうなったか・・・「バカ丁寧化」してしまったのだという。サブタイトルの「敬語コミュニケーションの行方」が示すように、それほど親しくない他者とのコミュニケーションのための道具・潤滑油が「敬語」だったのだが、他者とのリアルなコミュニケーションをとる「場」が減ってしまったことで、「敬語」は「丁寧化」の度を越して「バカ丁寧化」したと。過ぎたるは及ばざるがごとし。一体敬語はどうなる、いや、敬語の行方ではなく、敬語が繋いでいた人間関係はどうなってしまうのか?
第1章「させていただきたがる人々」の『「させていただく」は耳障りか」と、いきなり内角高めの速球で攻めてきた感じが。この本が出たのは総選挙の前だが、「させていただく」をもっとも頻繁(「はんざつ」ではない)に使う一人は、何を隠そう、現総理・鳩山由紀夫氏ではないか。それも織り込み済みなのかな?
そして最終章の第5章では「変わるコミュニケーション」として、言葉のことだけではなく、正に「人間」を観察して評している。「言葉」は「人間」なのである。「人」は変わるのよ。良い方に変わればいいんだけどねえ・・・。


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2009、8、23読了

2009年11月11日 20:00 | コメント (0)