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『道浦TIME』

新・ことば事情

5014「ティーバッグか?ティーパックか?」

 

先輩のMさんから質問を受けました。

「紅茶を入れる、あの糸の先に紅茶の葉っぱが入った袋のついてるヤツ、あれ、なんて言う?」

「え?ティーバッグでは?」

「そうやろう!!でも実は先日、『ティーパック』だという人がいて、今度みっちゃんに会ったら聞いてみようと思っててん」

私は、

「ティーパック」

というのは初めて耳にしましたが、言われてみると確かに「パック」になっていますね、"あれ"は。

大阪では、「ベッド」を「ベット」と言ったり、「デパート」を「デバート」と言ったり、「ナプキン」を「ナフキン」と言ったりして、濁音と半濁音と清音の区別があいまいな人も結構いますから、この「パック」もその一種では?というように感じましたが、一応、グーグル検索(3月4日)してみました。すると、

「ティーバッグ」=241万0000件

「ティーパック」=  95万3000件

思った以上に「パック」が出てきました。ウィキペディアを見ると、

「ティーバッグ (Tea bag) は、紅茶の葉か抽出物を含む小さな袋である。紅茶を抽出した後に茶こしを使うことなくお茶を飲むことができるようになっている。なお正式には『ティー・バッグ (tea bag)』であるが、日本国内では『ティー・パック』の表記が使われることがあるが和製英語の範疇である。『ティー・バック』と表記される場合もあるが、これはbagpackbackの音の近似によって生じた誤用である。」

と書かれていました。

でも「日本ティーパック」という会社もあるので、「ティーパック」という言葉自体はあるのでしょう。ただ、それはいわゆる「ティーバッグ」とは本来は違うものではないでしょうか?

国語辞典を引いてみると、『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『明鏡国語辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』『新選国語辞典』には「ティーバッグ」しか載っていません。「ティーパック」はありません。『新聞用語集』を見ても「ティーバッグ」しかありません。『岩波国語辞典』には「ティーバッグ」も「ティーパック」もどちらも載っていませんでした。どうやら、調べる前の感覚と同じく、

「ティーバッグが正しく、ティーパックは誤用」

と言えそうです。

その後、読売テレビのアナウンス部で聞いてみたところ、みんな、

「え?『パック』なんて言うんですか?『バッグ』しか知りません」

という反応の中で、一人だけ、横浜出身のYアナウンサーが、

「そういえば、うちの弟が『パック』と言っていたような・・・」

と。さらに後日、他のアナウンサーにも聞いてもらったところ、長野出身のIアナウンサー帰国子女のNアナウンサーが、

「『ティーパック』と言います」

と答えたそうです。Iアナウンサーはさらに、

「ほら、ここにも『パック』と書かれています」

と持ってきた「ティーバッグ」の袋には、

「さんぴん茶 ジャスミンティーパック」

と、たしかに「パック」と記されていました。沖縄のメーカーです。沖縄では「パック」なのでしょうか?また疑問が広がりました。

(2013、3、8)

2013年3月 9日 21:12 | コメント (0)