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『道浦TIME』

新・読書日記 2009_198

『差別語とはなにか』(塩見鮮一郎、河出文庫:2009、10、20)

入門書のようなタイトルだけど、内容は上級者向け。しかも「はじめに」と「差別語の原理」と「文庫版あとがき」は書き下ろしだが、あとは1988年から1999年まで、主に90年代半ばぐらいまでの論文を集めたもので、差別語の歴史を学ぶには良いが、リアルタイムさには欠ける。なぜいま「筒井康隆」と「てんかん協会」、「マスコミ」の闘いの話が?と、ちょっとすぐにはその必然性を見いだせなくて、戸惑う。文庫版とあるから、以前単行本として出ていたのだろう。
後半に五木寛之との対談も収録しているが、微妙に論点が噛み合っていないように感じた。無数の市民が望む「社会の規範の集合体」と、それを監視する「無数の市民の目」が、つまり「世間」なのではないか?と、「世間」とつなげて感じた。


star3

2009、11、9読了

2009年11月11日 20:08 | コメント (0)