特 集

2020/09/05

特集 01

【特集】菅義偉×辛坊治郎 次期“首相”大本命は!?生い立ちから解散タイミングまで全部聞く!

9月5日(土)放送の「ウェークアップ」には次期総理の大本命とみられる菅義偉官房長官が生出演。ニッポンをどこへ導こうとしているのか?辛坊治郎が直撃した。

■菅義偉、政治家としての原点とは

辛坊キャスター:菅さん、どうしてそもそも政治家になろうと思われたんですか?

菅官房長官:私は秋田で生まれて、高校まで秋田で育って、東京に働きに来て、厳しい現実に直面をして、2年遅れて法政大学に進学したんですけれども、サラリーマンを生活やっていたときに、もしかしたらこの世の中は政治が動かしてるんじゃないかと、おぼろげにそう思ったんですね。一回の人生ですから、やはり悔いのない一生を送りたいと、そういうところでいろんな紆余曲折を経て、横浜の小此木彦三郎国会議員のところにようやくたどりついたんです。

辛坊:政治家になろうと志されたときに、当然、これをやりたい、あれをやりたい、こんな世の中にしたいというお考えがあったと思うんですが、今までの政治家人生でそれはかなり実現できたのか、これからなのか、いかがですか。

菅:(出身地である)秋田という所は非常に雪深い所で、冬になると出稼ぎとか…なんか寂しいどんよりした雰囲気があったんですね。こうしたもの、やはりなんとかしたいという思いは、私のどこかにあったんだろうと思います。

辛坊:秋田の空はどんよりしなくなりましたか?

菅:どんよりしない空にしたいと思ってます。

辛坊:ということは、まあこれからということですね?

菅:はい、そうです。
「ポスト安倍」を否定し続けた菅氏、出馬決意はいつ?

政治家としての原点を語った菅官房長官。続いて話題は、今回の総裁選に。派閥に属さず、時に派閥の弊害について語ったことのある菅氏が現在、多くの派閥の支持を得て総裁候補の筆頭となっていることについて、どう考えているのか?

辛坊:フルスペックの総裁選が行われない場合、たとえ選ばれても正当性に疑問が生じるんじゃないのか、この指摘はいかがですか?

菅:皆さん、いろんなことを言われてますけども、党のルールに基づいて執行部はこの総裁選挙を行うということになったというふうに思います。私は候補者でありますから、決められた中で最善を尽くしていきたい、このように思ってます。

辛坊:ご本人も無派閥ですし、派閥に関しては疑問を呈されたこともあるのですが、今回、派閥の大勢に押されて選挙情勢が決まりつつある、これはどう見ていますか?

菅:私は派閥に相談をして決意をしたんじゃないんです。私自身が、政治空白を空けてはならないと。経済そのものが戦後最大の落ち込みの中、そして暮れにかけてインフルエンザの流行、それに向けてコロナ対策を(安倍)総理がパッケージとしてまとめた中で、総理ご自身が体調のために辞任を表明せざるをえなかった。そうした無念さ、そしてその政治空白を空けちゃならないという中で、私自身熟慮に熟慮をして「やらなきゃだめだ」ということを決心したのです。
そこから色々な派閥の皆さんが私を応援してくれる。ここは私にとっては大変力強い限りであります。

辛坊:8月28日金曜日の夕方午後5時から総理が記者会見を行われたわけですけれども、菅さんが総理を目指すと最終的に決めたのはどのタイミングですか?

菅:私、当日の午前の記者会見が終わったあとに総理室に呼ばれまして、辞められるという話を聞きました。そこからスタートしたということであります。

辛坊:そのときに総理から「あとを頼む」みたいな話はなかったのですか。

菅:それはありませんでした。

■新型コロナ対策について 特措法改正は?

辛坊:新型インフルエンザ特措法の改正を求める声も上がっています。知事会や医療関係者など多くから上がっていますし、GoToトラベルキャンペーン、東京都の除外はいつまでなのか、このあたりいかがでしょうか。
GoToトラベルキャンペーンについては「菅さんと小池都知事との確執の中で東京が除外されたのでは」という見方もありました。東京はいつ復帰と考えてらっしゃいますか?

菅:小池都知事との間の関係で東京を外すようなことは私はしません。当時、まだご記憶に新しいと思いますけど、東京都で知事が「不要不急の外出は避けてほしい」という呼びかけをいたしました。また、東京だけ突出して、陽性患者が増えてきたんですね。こういうことは専門家の方を含めて分科会というところで意見を伺いながら決定をするわけでありますので、当時は「東京は除外をする」と(決めた)。しかし、東京が感染者について、減少し始めたら東京も入れていい。確か、そういう提案を(分科会から)頂いております。

辛坊:現状東京は9月15日まで23区内の飲食店の時短営業要請が行われていますが、15日以降のことは決まってません。となると、そのあたりで時短営業も緩和されるということになったら、今月の半ばからのGoToトラベル参加ということはありうるんでしょうか。

菅:そこはあくまでも分科会で決めていただくことであります。例えば、このGoToキャンペーンをやったときに、これによって「全国に新型コロナが拡散される」とか批判をされましたけど、約1か月で550万人ぐらいの方にご利用いただいて、コロナの陽性の方は6人です。やはり3密をしっかり避けるとか、大声を出さないとか、受け入れ側も感染防止対策を組むことになってますので、そうしたことをしっかり守っていただければ。そして分科会の中で、専門委員会の皆さんが東京はもう(GoToトラベルに参加しても)いいだろうということであれば、私は自然にそうなっていくと、こういうふうに思ってます。

■消費税減税は?解散はどうなる?

辛坊:政策について伺います。消費税については一部の政治家の方に「新型コロナ対策として引き下げるべきだ」という方がいらっしゃいます。菅さん、どういうお立場ですか、

菅:社会保障の貴重な財源でありまして、継続性、持続を考えたら、私は今のままでというふうに思ってます。

辛坊:なるほど。新型コロナに関しては、「財政に関して野放図でばらまき過ぎではないのか」という逆の面の指摘もありますが、これについてはどうですか。

菅:いずれにしろ、今大事なのは給付。そして給付や融資を中心に行って、雇用をしっかりと守って、企業が継続することができる環境を作っていく、まずそこが今一番大事なことだと思ってます。

辛坊:そして総裁選がフルスペックで行われなかったということも関係して、早期にやはり内閣に対していわゆる正当性を担保するという意味で、解散・総選挙が必要ではないのかという意見があります。

菅:それは新しく総理・総裁になった方が判断することだろうと思います。
ただ私は、国民の皆さんの最優先は新型コロナ。ここで安心・安全な状況を作ってほしい、そういうことじゃないかなというふうに思ってます。

辛坊:菅さんはほかの番組でも、コロナ収束というのが解散の条件だというふうに発言してらっしゃいますが、今の流れでこれから2、3か月感染者が減っていった場合、これは解散ができる状況だというふうにお考えですか。

菅:仮定について今、控えますけれども、ただ、このコロナというのはですね、一日も早く収束をすることができるように、政府として全力を挙げて取り組んでいきたい、このように思います。

辛坊:もう1つ、東京都の医師会などから「強制性を持った飲食店の営業制限ができるように、法改正をすべきだ」という意見があります。この点はいかがですか。

菅:私ども3月に、この法律を改正させていただきました。そのときに “人権に配慮する”という、極めて慎重な意見があったということも事実でありますので、そこは国会ですぐに成立するようなことには私はならないというふうに思います。

辛坊:現状、新型コロナは(指定感染症の)2類相当とされて、赤痢などより重い感染症という対策が取られてますが、この対策は当面、お続けになるというお考えでしょうか。

菅:ここはコロナの実態もだいぶ分かってきましたので、状況を見ながら考えてもおかしくないというふうに思います。

■理想の官房長官像とは?外交は苦手?

辛坊:菅“首相”には菅“官房長官”がいないという問題がある…と指摘されています。もちろんこれは菅さんを褒める意味のレトリックだろうとは思うのですが、菅さん、官房長官に求められる人材、人物像というのはどんなものですか。

菅:官房長官というのはまずスポークスマンですから、1日に2回の記者会見、そこで国民の皆さんに、政府としてのメッセージを届ける。それと同時に各閣僚を取りまとめて、実際に政策を前に進めていくという、ある意味で1人の閣僚だと思いますね、
(理想の官房長官とは)そういう縦横1つにすることができる、そうしたものを取りまとめることができる人だとも思います。

辛坊:もし自分が総理・総裁になったらというような想定で、人選は考えていらっしゃるものなのでしょうか?

菅:全く考えていません。

辛坊:例えば、河野太郎防衛相のような方がいいのか、森山裕国会対策委員長のようなタイプの方がいいのか、どうでしょう?

菅:非常に悩みますね。

辛坊:さて、外交という大きな課題も総理にはあります。菅さん、外交が苦手というのが一般的な評価ですが、これに関してはいかがですか?

菅:苦手というよりも、官房長官というのは、基本的に海外に出る機会というのはほとんどないわけです。そういう中で、外交で大事なのはやはり継続だと思ってます。そして私自身、例えば総理とトランプ大統領との電話会談、37回やってますけども、私、沖縄に行ったとき以外は、すべて出てるんです。外交の重要事項を決定するときには、私自身も関与してきていますので、そこはしっかり対応できると、こういうふうに思ってます。

■「維新の会」との連携は?

菅“首相”を「日本維新の会」は歓迎?
辛坊:「日本維新の会」からは菅官房長官の出馬について歓迎のコメントが出ています。しかし大阪では、維新の会と自民党は対立しています。大阪自民党としては逆に菅さんに総理大臣になられると困るというような意見すら聞こえてくるんですが、どうでしょう。

菅:ただ私たち、橋下さんが最初の大阪府知事選挙に出るとき、自民党と公明党で大阪府連が推薦をしてるんです。ですから自民党本部も府連の求めに応じて、橋下知事誕生の際は、選挙で一生懸命応援させてもらったんです。そして私、総務副大臣のときから「大阪市というのはあまりにも効率が悪い、よくない」ということを明言をしてました。
例えば私の選挙区は横浜ですけれども、横浜は人口が360万人で職員が3万人。大阪は人口が100万人少なくて、職員が2万人も多かったんです、5万人いたんです。

辛坊:そうですね、当時。

菅:それはおかしいということで、当時の総務副大臣として強く指摘をしました。そうしたものを橋下さんや松井さんが改革してきたということが、今現実的にそうなっているんじゃないでしょうか。

辛坊:菅さんの橋下徹評というのはいかがですか?

菅:改革の一つの道筋をつけてる、今、政治家じゃないですけども、評論家だと思いますね。

辛坊:民間からの大臣起用みたいなことは、菅さんは考えてらっしゃいます?

菅:まだなってませんから、組閣人事っていうのは頭の片隅にもないです。

■安倍政権の“負の遺産”にどう向き合う?

三輪記子弁護士:継続性、安定性ということを強調されてるんですけれども、この公文書管理というのは、民主主義の根幹にあるわけですね。それが毀損され続けたというふうに感じてるのですけれども、そこでやっぱり、公文書管理のずさんさっていうのを継続されたら困るんですね。そこで、今後、民主主義の復活のために、菅さんが何をされるのかっていうのをぜひ聞きたいです。

菅:公文書管理がですね、改ざんされるということはあっはならないことだというふうに思ってます。さまざまな声に謙虚に耳を傾けながら、しっかりと改革は進めていきたい、こういうように思います。
地方を大切にする首相に…菅氏の思いとは

辛坊:頂いている時間の大半が過ぎてしまったのですが、もういっぺん、さっきと同じ質問を重ねてしまうことになりますが、菅さん、やはりどこかのタイミングで1年以内に解散・総選挙が行われるだろうというような話が常識論としてあります。冬場にするとなると、新型コロナがどうなるか分からないという大きな要素はあります。新総理が解散できるタイミングとしたら、年内なのか、来年の春以降なのか、これは菅さんご自身じゃなくて、一般論としても構いませんけれども、どうお考えですか。

菅:私は官房長官の会見で、よく当時、安倍総理がいつ解散するかということを聞かれたときに、解散というのは総理が解散すると言えば解散、しなければしない。それ以上でもそれ以下でもないと、こういうことを申し上げてきてます。

辛坊:今の発言では、要するに、新しく総裁になられた方が若干議論がありますけれども、7条解散ということで、総理の権限で解散に踏み切る、これはありだということですね。

菅:私が言ってきたとおりです。

橋本五郎(読売新聞特別解説委員):これはそんなことは言えませんよ、今の段階でね。しかし、それを全く否定しないということは、そういうことも考えながらやってるという具合に解釈すればいいと思いますよ。

辛坊:もう時間がいっぱいなんで、五郎さん、同じ秋田ご出身として、総理・総裁への今、一番近道にいらっしゃる菅さんに、ぜひ1つ。

橋本:私は2つですね。1つはやっぱり、派閥のなんとなく、それで決まってるかのような印象を払拭すること。それからもう1つはやっぱり、同じ秋田の生まれとして、地方を大切にする政治。それを具体的にやってほしいなと、具体的に。

菅:分かりました。

辛坊:菅さん、抱負をひと言お願いします。

菅:地方を大切にする。私、「ふるさと納税」というものを作りました。インバウンドでも地方に積極的にインバウンドがいくような政策を行ってきました。そうしたことによって、昨年、27年ぶりに、地方の地価が上がり始めたんです。私が官房長官として一番うれしかったときです。さらに、私はその派閥から押されてなったということじゃなくて、私が決心をしたことについて「この状況下は菅だろう」と、そういうことでご支持を頂いている。そういうふうに思っています。

辛坊:菅さん、高校卒業されて、東京に出てきた自分に戻って、当時の自分は今の自分にどんな言葉をかけますかね?

菅:どうなんでしょう、全く思いもよらなかったことです。私は横浜で政治の世界に入ったのですけど、市会議員の人も非常に遠い存在でしたから、それが縁あって、市会議員に出るチャンスに恵まれて市会議員になって…。そして地方分権が必要だと考えて国会議員に出たわけですけれども、自分が当選4回で、総務大臣になった。総務大臣になったときもなんで俺がここにいるんだろうなっていう、そういう思いでした。
そして官房長官になって、今、まさか私自身が総理・総裁に向けて、こうして立候補できる、するという、そうしたことっていうのは、全く考えられないというふうに思います。原点を大事にしながら、やはり政治しっかりやらなきゃならないという思いです。

辛坊:そうですね。これから総理になられるかどうかまだ決まったわけではありませんが、まさに国民のために、菅さん、頑張ってください。

菅:ありがとうございます。

BACK NUMBER

btnTop