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案件9

西嶋 葵(美容師)MEGUMI
一緒に暮らして2年。事実上の夫婦関係にあった夫から、突然別れを告げられる。
夫には他に女ができた様子…ヘアサロンに来店した香苗にたまたま悩みを打ち明けたことから、袴田法律事務所の依頼人となる。

事実婚を証明する証拠品はすべて撤去されてしまったが、 同じ被害者同志である法律上の妻と協力し、夫の二重生活を証明することに成功、 女性問題で解雇された夫の退職金から、慰謝料500万円が支払われた。

第9話「事実婚妻vs法律婚妻“2人の妻”が壮絶バトル!」

“慰謝料”を勝ち取って、人生の再出発を後押してくれる袴田法律事務所。
今回のクライアントは、助手の野々村香苗(矢田亜希子)が通うヘアサロンの美容師・西嶋葵(MEGUMI)。2年前から事実婚の関係にある平野康平(山田将之)から電話一本で別れを告げられたという。どうやら他に女がいるようだ…。しかし、籍が入っていなければ慰謝料を貰えないのではないか。心配する香苗や大家の遠山芳江(美保純)、アルバイトの篠塚里奈(岩﨑名美)。ところが、袴田は「事実婚でも、慰謝料は取れます!」と胸を張る。通常、事実婚にも法律婚に準じた夫婦の義務、つまり夫婦協力義務や貞操義務が生じる。2人が事実婚であったことを証明できれば、法律婚とほぼ同じ額の慰謝料が取れた。
そこでまず必要なのは、2人の事実婚を客観的に証明すること。一番有効なのは住民票やマンションの契約書など、2人の名前が書かれた書類だ。だが、そんなものはないという。また、両親にも互いを紹介しておらず、2人の事実婚を証明してくれる友人もいない。でも、結婚衣装で撮った2人の写真もあるし、夫婦として生活していく上での誓約書や、2人の日々の予定が書き込まれたカレンダー、夫婦茶碗などはあった。袴田は葵に、なるだけ事実婚の証拠を集めるよう指示をする。それにしても…、何やら釈然としない袴田。
葵が自宅に帰ると、部屋からは康平の荷物が全てなくなっていた。それに加え、事実婚を証明する「写真」も「誓約書」も「カレンダー」もない。夫婦茶碗についてはご丁寧に康平の分だけない。これでは事実婚を証明することは出来ない…。

そんな中、康平について衝撃の事実が判明する。フリー調査員・梅本くるみ(渡辺直美)によると、康平は1年前、上司・藤岡茂(浅見小四郎)の娘・知美(嘉門洋子)と法律上の結婚をしていた。そして、葵には「出張」と言って行っていた名古屋だが、実は彼の仕事の本拠地は名古屋にあり、そこで知美と暮らしていた。ところが、今回、東京へ異動となる。義父・藤岡の口添えで東京支社の執行役員に昇進することが決定し、これまでの二重生活を解消する必要が康平にはあったのだ。最早、ただの浮気話ではなくなってしまった。力が抜けて座り込む葵。
「私、ずっと騙されてたんですね…。信じてたのに…許せない! ひど過ぎます!」
そこへ芳江が新しいクライアントの女性を連れてきた。芳江によると、夫の浮気相手から慰謝料を取りたいという。ところが、この女性、事もあろうか、康平の法律上の妻・知美だった。罵り合い、そして、つかみ合いの喧嘩になる“妻”2人。修羅場となる。
「いい加減にして下さい! お二人とも同じ被害者じゃありませんか!」
2人の“妻”を引き離す袴田。知美に、葵は2年前から康平と事実婚の関係にあったことを説明する。にわかに信じられない知美…。
また、袴田は2人が同じ結婚指輪をしているのに気づいていた。2人に確認すると、いずれも康平から贈られたもので、葵が贈られたのは知美と結婚した時期と重なる。康平は指輪をつけたり外したりしなくて済むよう、同じものを贈ったのだろう。そう考えると、今回の一件で一番悪いのは康平で、葵と知美は敵ではない。ここは2人、手を取り合って協力しようじゃないかと、袴田は提案するが、知美は怒って帰ってしまう。

知美はその日、仕事中の康平を呼び出した。葵の写真を突きつけ、真実をただすが、康平は葵をストーカー呼ばわりする。たった一度、酔った弾みで関係を持っただけで、付きまとわれている、と。結婚指輪も葵が真似て、勝手に買ったんだと言う。
「世界中で一番大切なのは知美なんだ! ずっと一緒にいたいと思っている!」
そう言って、うまく知美を丸め込む康平だったが…。
「いやあ、迫真の演技でしたね!そうやって2人のことを騙し続けたんですね?」
一人、歩いてくる康平を拍手で迎える袴田。康平はシラを切るが、
「あなたがやったことは許されることではありません! 近いうちに正式に慰謝料を請求させて頂きます!」
康平に宣戦布告をする袴田。香苗と共に葵の部屋を訪ね、冷蔵庫やタンスを見ていく。香苗や葵は彼の真意が理解できない。その時、袴田はお腹が痛くなる。慌ててトイレへ。そこで彼は何かを発見したようだ。スッキリした顔でトイレから出てくる…。
袴田は後日、知美を訪ね、一緒に闘おうと説得する。しかし、知美は聞く耳を持たない。袴田は最後に一つだけ、トイレットペーパーの種類を確認する…。

数日後、袴田は香苗や葵と共に、康平の勤務先を訪ねた。袴田は知美にも連絡していたが、残念ながら彼女はその場には来なかった。
「会社に来るなんて非常識だろ!」袴田たちの顔を見るなり、声を上げる康平。だが、義父・藤岡の目もあり、慌てて会議室に通す。その時、娘婿を心配した藤岡がやってきた。袴田は藤岡に、康平が法律的重婚をしていた事実を告げる。驚く藤岡。康平は「根も葉もない嘘だ」と釈明するものの、袴田は証拠があると言って、鞄からトイレットペーパーを置いた。意味がわからない一同。袴田によると、このトイレットペーパーは真綿のような柔らかさを持つ超高級品。康平は好んで使っていたようで、これを買うよう葵に日頃、指示していた。そして、それは知美にも…。康平はシラをきるが、
「家のトイレットペーパーも同じです」そこへ知美が現れる。
また、康平には歯磨き粉や靴下、防虫剤、梅干し、味噌など、色々と拘りがあるようで、袴田は次々と葵と知美に質問していく。すると、すべて一致する2人の“妻”の答え。いくら証拠を消したつもりでも、2年も一緒に生活した痕跡を完璧に消し去るのは不可能だった。さらに、袴田は一枚の写真を差し出す。知美に依頼を受けた探偵が、葵の家に康平が入っていく姿を写したもので、それは葵の部屋から事実婚の証拠を持ち出した日の出来事だった。ぐうの音も出ない康平…。「平野康平さん。西嶋葵さんが受けた精神的苦痛は甚大です。つきましては慰謝料500万円を請求します」
さらに、知美からその場で離婚と慰謝料の依頼を受けた袴田は、彼女の分の慰謝料400万円を請求する。2人の“妻”から合計で900万円の慰謝料を請求された康平。「そんなの払えるわけないだろ!」と開き直るが、藤岡からは退職金で払えばいいと一喝される。クビを宣告されたのだ。地位も名誉もお金も愛も、康平はすべてを失ってしまった。
そして袴田の思惑通り、“2人の妻”、葵と知美の間には「友情」が芽生えていた…。