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案件5

大塚 雅代(主婦)久保田 磨希
夫が陶芸教室で浮気していると主張する超束縛妻。
携帯は毎晩チェック、カバンにはGPSを忍ばせ、
夫の行動は全て把握している。

大山 孝之(高校生)ささの 友間
恋人の浮気に悩む男子高校生。
彼女が男性と一緒にいたとの目撃情報が多数あり、
交際相手が複数いるのではと不安を訴える。

沢田 千春(主婦)児玉 絹世
夫の風俗通いに憤る主婦。
偶然、夫が風俗店に向かう姿を目撃し、
その写真も押さえている。

熊谷 節子(主婦)西方 凌
香苗が連載する月刊誌の広告を見て、
袴田を訪ねてきた女性。

慰謝料目当ての依頼が殺到、パートナーへの疑念を払拭させることで穏便に解決。
夫の不倫を終わらせて欲しいという依頼に関しては、相手に通知書を送り、慰謝料請求しないことを条件に不倫関係を解消させた。

第5話「袴田法律事務所 最大の危機!?」

袴田法律事務所。アルバイトの篠塚里奈(岩﨑名美)が出勤してくると、朝からクライアントの行列が出来ていた。一体、何事かと驚く慰謝料弁護士・袴田幸男(田中直樹)。実はこれ、助手の野々村香苗(矢田亜希子)が描く連載漫画の最後に、大家の遠山芳江(美保純)が事務所の広告を勝手に載せていたのだ。しかも、袴田をモデルにした漫画の主人公の決めゼリフは「私に取れない慰謝料はありません!」となっていて、並んでいる人は皆、慰謝料目当てだった。本来、弁護士は結果を保証してはいけないもの……。袴田は渋い顔をするが、連載が始まったばかりの香苗は漫画の人気取りに必死だった。

かつてない忙しさに、てんやわんやの袴田法律事務所。しかし、あまりに待ち時間が長くて、帰ろうとする人も……。「他に行かれたら、せっかくの広告がパーになる」これには、芳江が焦った。袴田に内緒で、芳江と香苗が他のクライアントの話を聞くことに……。

今回のクライアントは3人――夫の浮気を過剰に疑う束縛妻・大塚雅代(久保田磨希)、恋人に2股、いや3股、4股かけられているかもしれないと訴える高校生・大山孝之(ささの友間)、夫の風俗通いに憤る主婦・沢田千春(児玉絹世)。これら案件はいくら袴田でも、慰謝料が取りにくいものばかり…。袴田が「結果は保証できない」と諭しても、この3人は香苗の漫画にある「私に取れない慰謝料はありません!」を盾に一歩も引かない。モンスター・クライアントだ…。

困惑する袴田だったが、ついに覚悟し、「では皆さんにお聞きします」と2つの質問を投げかける。「お相手の方が憎いですか?」「徹底的に叩きのめす覚悟がおありなんですね?」と。躊躇いながらも、イエスと答える雅代や孝之、千春…。

「皆さんの覚悟はわかりました。憎きその相手を地獄に叩きのめしてやりましょう」
袴田はフリー調査員・梅本くるみ(渡辺直美)に、浮気の証拠を今すぐ掴んで来るよう頼んだ。調査費は袴田のおごりだという。何か袴田には考えがあるようだ。 そんな中、朝から一人、事務所の外でずっと待っている主婦・熊谷節子(西方凌)がいた。申し訳なく思う袴田。節子の話を聞こうとするが、彼女はみんなの案件が終わってからでいいと遠慮がちだ。そして、彼女の依頼内容も…。

節子の話を聞く袴田。その向こうでは香苗や芳江、さらには雅代、孝之、千春の3人も節子の話に聞き耳を立てている。節子は結婚して15年の主婦で、夫には結婚前から付き合っている女がいるという。その女は他に家庭を持っていて、いわゆるダブル不倫だった。15年も不倫関係にあれば、慰謝料1000万円超えもあり得るが、節子は離婚を望んではいないし、慰謝料もいらないという。その理由は夫を愛していて、楽しい思い出もあるから。離婚することはそのすべてを捨てること、楽しい思い出も忌まわしいものになってしまう。それが嫌なんだという。そして、彼女の望みはただひとつ。夫と不倫相手の女を別れさせてほしい…。袴田は不倫相手の女に通知書を送付し、その中で不倫関係を解消するのであれば、慰謝料までは求めないという記載することにする。相手も今の家庭を守りたいだろうし、すぐに承諾は得られるだろう。袴田は最後に、本当に慰謝料はいらないかと念を押した。すると、彼女は頷いて、「お金よりも取り戻したものがあるんです」と明言した。その言葉には、雅代たちモンスター・クライアントにも響いたようで…。

「皆さん、お待たせしました! 憎き相手からガッツリ慰謝料を貰う準備が整いましたよ!今後の作戦を話していきましょう」
袴田は節子を見送った後、雅代たちにくるみからの調査報告を伝える。それによると、雅代の夫・徹は今日、半休を取り、花屋や陶芸教室へ行ったという。そこには若い女性が働いていて、彼女たちに話を聞いたところ、徹は結婚10周年の記念に雅代へプレゼントしようと、花屋では花束を作ってもらい、陶芸教室では自らオリジナル夫婦茶碗を作っていた。また、雅代は夫の鞄に手錠とアイマスクがあるのを見つけ、「浮気相手とSMプレイをしている」と疑っていたが、それも結婚記念日の余興に手品をしようと用意したものだった。俄に感動し、言葉を失う雅代。しかし、袴田は「よくあるんですよ、こういう手口。自分にはちゃんと妻がいるから愛人になってほしいとアピールです。ホント、悪知恵の働く旦那さんです」と夫批判を繰り返す。孝之の恋人・乾亜矢についても…。

実は妊娠していた亜矢。高校生の孝之に迷惑をかけまいとシングルマザーになることを決意し、出産費用を稼ぐためキャバクラで働き始めた。街で目撃された男たちは同伴出勤の客だった。亜矢を疑ったことを反省し、お腹の子の父親は自分だという孝之。だが、袴田は「そんなのわかったもんじゃありませんよ。何股をかけてる彼女だったんでしょ?」と非難する。

そして、千春の夫・修治についても彼女の誤解だった。修治が通っていたのは風俗店ではなく、同じビルに入っているゲイバーで、そこには教師を務める修治の元教え子が働いていた。修治は来店の度、性の問題を解決して一般企業で働くよう元教え子を説得していた。しかし、袴田は「実はそういう趣味をお持ちだっただけなんじゃないですか」とケチをつける。香苗は刹那に止めようとするが、袴田の意図に気づき、見守ることに…。

雅代たち3人を煽りに煽る袴田。すると、雅代たちは必死で相手をかばい、「帰る」と言い出した。袴田の思うツボだ。そして、袴田は例の決め台詞を逆手に取って、こう尋ねた。
「皆さん、愚かですね。担当弁護士はこの私ですよ。私に取れない慰謝料はありません。皆さんには、お金より取り戻したいものがあるっていうんですか?」

「……はい」頷く雅代や孝之、千春。袴田は残念そうな口ぶりで応じるが、その表情は嬉しそうだ。しかし、今回もカネにならなかった袴田。芳江やくるみは面白くない…。
数日後、袴田法律事務所に節子がやってきた。不倫相手の女から正式な返答が袴田のもとに届き、そこには不倫関係は解消すると書かれていた。袴田に感謝し、恐縮する節子。実は彼女、他の弁護士にこの件を依頼したこともあったが、相手にもされなかったという。

「こんな無理な依頼を引き受けて下さって、本当に感謝しています」
「気にしないで下さい。本当に困っている方の依頼は、断りたくないんです」
いかにも袴田らしい言葉だ。それを聞いていた香苗は、漫画の主人公の決めゼリフを「本当に困っている方の依頼は、断りたくないんです」と変えるのであった…。

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