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案件1

倉沢 香苗(主婦)矢田 亜希子
家事の傍ら、漫画家を目指す専業主婦。
財布は旦那に握られ、少ない生活費で全て賄うよう言われている、陰では『バカ女』と呼ばれ、冷たい言葉を浴びせられる日々。
そして、その旦那の浮気が発覚した・・・。

浮気、仕事への妨害行為に加え、離婚申し出後の不誠実な言動に対する慰謝料として
1000万円を請求。5年分割払いの条件で双方納得し、協議終了。

第1話 「“バカ女”を演じて、1000万頂きましょう!」

倉沢香苗(矢田亜希子)は、広告代理店に勤務する義人(永井大)と結婚して8年。家事の傍ら、漫画家を目指す専業主婦だ。夫は結婚当初、香苗の夢に理解を示し、協力的だったが、今では『バカ女』とけなされ、冷たい言葉を浴びせられる日々。おかげで漫画もすっかりスランプ気味…。そんな矢先、夫の浮気が発覚した。

香苗は離婚を考え、弁護士に相談する。ところが、その対応はどこもつれなかった。通常、浮気ぐらいでは高額な慰謝料は取れず、反対に弁護士から高い着手金を要求される始末。家計を夫に握られている香苗は、そんなカネを払える訳がない…。

そんな時、出会ったのが弁護士・袴田幸男(田中直樹)だった。彼は、香苗ら客がいるのもお構いなしに、若い子と浮気したカフェの店長に「慰謝料下さい」とまくしたてる。余りの勢いに、呆気に取られる香苗。でも、この人なら何とかしてくれるかもしれない…。

雑居ビルの一角にある袴田法律事務所。香苗の話は、フリー調査員の梅本くるみ(渡辺直美)、アルバイト・篠塚里奈(岩﨑名美)、そして、なぜかビルの大家である遠山芳江(美保純)が聞いてくれた。だが、芳江のノリは井戸端会議の延長線で、完全に話を面白がっている。当の袴田はクラシックを聞きながら、パンを作っている。香苗は一抹の不安を覚える。しかし、袴田は離婚の慰謝料に関してはエキスパートらしく、相談料もタダだった(家賃やスタッフの給料を払えてない貧乏事務所なのに……)。少しは安堵する香苗。だが、袴田からは「今日のところはお引き取り下さい」と言われてしまう。それは、香苗の中でまだ、夫と戦う覚悟が出来ていなかったからだった。

香苗は家に戻って、今一度、自身の気持ちと向き合うことに。そこへ夫・義人が帰宅し、ネックレスをプレゼントしてもらう。来週は結婚記念日、出張でお祝いできないから、と。香苗は顔を綻ばせる。ところが、義人の入浴中に彼のケータイを見ると、浮気相手から「奥さん喜んでくれた? 私の時はダイヤがいいなぁ(笑)」というメールがきていた。来週の出張も嘘で、2人で旅行するようだ。バカにして……!

香苗はついに覚悟を決め、袴田に正式に依頼する。すると、袴田は、今回のケースなら500万円の慰謝料が取れると言った。驚く香苗。以前、相談した弁護士は取れて100万円と言っていた。しかし、袴田は自信満々だ。ただし、自分の指示に従えばと、条件をつける。その指示とは――「あなたにはまだ『バカ女』のままでいてもらいます」。つまり、夫を油断させ、とにかく泳がせまくる。その間に、香苗が浮気の証拠を集めるというものだった。証拠の集める方法は、調査員のくるみから、海外ドラマ『鋼鉄の女スパイ マリリン』を参考にするよう教えられる。

香苗はマリリンに従って、①カーナビの履歴をチェック②車にGPSをつけてデート現場を特定③デート現場を写真撮影しようとするが、ショックを受けた香苗はその場から逃げ出すことも…。しかし、袴田から叱咤激励され、浮気の証拠を集めていく。最初は辛いだけの証拠集めだったが、だんたん楽しくなり…。

そして、ついに運命の時がきた。夫・義人から「好きな人がいる」と離婚を切り出される。香苗はショックを受けたフリをしつつも、待ってましたと言わんがばかりに、離婚協議書の作成を買って出る。離婚協議書というのは慰謝料など離婚後の取り決めで、香苗は慰謝料を最初、高めに設定し、夫に譲歩した形で希望通りの500万円で帰着させる。

袴田に感謝する香苗。今回のことで、本来の自分を取り戻せたようだ。新作の漫画も編集の田畑美里(高嶋香帆)に褒められ、念願のデビューも決まった。

ところが突然、そのデビューはなかったことに。義人が自身の勤める広告代理店を使い、出版社に圧力を掛けたのだ。どうやら浮気相手に「慰謝料が高すぎる」と指摘され、相場に気づいたようだ。香苗は義人に迫られ、慰謝料の減額に同意する。ところが――

それには袴田が納得しなかった。「これは夫婦の問題なので……」と香苗は濁すが、「いいえ、違います。浮気をした時点で、あなたの旦那さんは健全な夫婦であることを放棄したんです。その瞬間から、あなたたちは加害者と被害者の関係になったんです。法廷でも、浮気は悪意と認められています。私にとっては犯罪と何ら変わらないと認識している。浮気した人間はそれ相応の罰を受けるべきです」と熱弁をふるう。香苗も心動かされ…。

袴田と香苗は新しく離婚協議書を作って、義人が自宅に愛人といるところに乗り込んだ。義人は慰謝料を減額した協議書かと思っていたが、そこに書かれた額はなんと1000万円。香苗の仕事を妨害した行為、愛人を自宅に連れ込んだ行為を加算したものだと、袴田は説明する。義人は怒りに震えて反発するが、袴田は義人の会社も訴えると迫って…。

こうして離婚が円満に成立する。香苗は旧姓の野々村に戻した。そして、袴田法律事務所に赴き、「ここで働かせてほしい」と願い出る。袴田を主人公にした漫画の連載が決まったので、ネタ集めをさせてほしいというのだ。困惑するくるみや芳江たち。だが、袴田は香苗の漫画を見て、一言こう呟いた。「…このキャラ、もっとカッコよくできません?」