• 『アニ民280人目』オーディオプランニングユー(=APU)代表取締役社長の浦上靖之さん
  • 『アニ民280人目』オーディオプランニングユー(=APU)代表取締役社長の浦上靖之さん

  • 2016.07.07

今回のアニ民はオーディオプランニングユー(=APU)代表取締役社長・浦上靖之さんです。ここではいつも通り浦上さんのことを、やっくんと呼ばせていただきます。

実はボクはやっくんを小さい時から知っています。TVアニメ「シティーハンター」の最初から音響監督としてお世話になったのがやっくんのお父さんでもある浦上靖夫さん(=うらさんアニ民14人目)。ご自宅にお伺いした時やっくんはまだ小学生でした。それから「YAWARA!」「魔法騎士レイアース」、そして「名探偵コナン」といった作品でうらさんと時間を共にし、あたりまえですが、いつもやっくんは近くにいてくれた気がしてました。

やっくんに話を聞くと確かに当時、家で「シティーハンター」や「ドラえもん」をよく見ていたそうで、しかもうらさんが音チェックをしてるモノだったみたいで…、その稀なる環境がホントうらやましい。でもAPU作品を見ててチャンネルを変えたら怒られた、なんていう経験もなかなか、ですね。好きだったアーチストはビートルズ、学生の時にハマった洋画は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。さらに4年間アメリカの大学に留学して美術を学んでいたそうで、大きな壁画を描いていて梯子から落ちて骨折体験あり、というから武勇伝もいろいろありそうです。

米国の大学卒業後、すぐAPUに入社。でも何をやっていいのか、何に興味があるのか、しばらくわからなかった状態で出会った作品が「それでも世界は美しい」。この作品を初めて妹の浦上慶子さん(=けいちゃんアニ民183人目)と共同で手がけ、音楽や音が人を感動させることに気づき、大きく目覚めたそうです。その後、集中して音の世界にのめり込み、コツコツ進めていく事が好きで、丸一日仕事場に詰めていても苦じゃないって。

コナンチームに入ってくれて「本当にありがたいな」と思うのが劇場版のダビング作業です。うらさんの指導は厳しかったと思いますが、今のやっくんのこだわりは尋常なものではありません。セリフと音楽と効果音のバランスはもちろん、新たな音世界への挑戦がそこかしこに見られます。しかもやっくんの凄いところはどんな事になってもあまり不平不満を言わず、スタッフと連携をとりながらも寡黙に戦い、虎視眈々と常にベストを狙うトコ。そうなんですね、やっくんの作業はいつも目立たずコツコツ粛々と…そんな人なんです。

30年以上にわたってボクにアニメの音響について教えてくれたうらさんが亡くなって、もう1年半以上が過ぎてしまいました。そのこと自体の悲しみは未だ完全に癒えないのですが、今のコナンの音響監督クレジットは浦上靖之・浦上慶子。うらさんの仕事を完全に引き継いだ2人の頼もしいこと頼もしいこと。とくにやっくんはそのこだわりのダビング作業はもちろん、コナンチームに入っての飲み会でもその個性を発揮。静かに飲んでても、ボクとワインをつきあってくれるようになってくれて本当に嬉しいです…(そこ?笑)。これからも兄妹鉄壁のコンビネーションで「名探偵コナン」をさまざまな視点・聴き点から支えていって下さいね。