• 『アニ民341人目』アニプレックスプロデューサー若林豪さん
  • 『アニ民341人目』アニプレックスプロデューサー若林豪さん

  • 2019.02.14

今週のアニ民はアニプレックスプロデューサー若林豪さんです。ここでは若林さんのことをいつものようにごうちゃん、と呼ばせていただきます。

ごうちゃんと会ったのはもちろん今回の劇場版「シティーハンター」の制作スタート時です。初めて名刺交換した時に当然話題になったのがお名前です。有名俳優と文字も同じ同姓同名、すぐに相手に覚えてもらえてイイね、なんていう話題にはもう慣れっこでしたよね。

正直言って第一印象はあまり多くを語る感じじゃなく「とっつきにくい面あるな」と思っていました。でも会議などでお話をしていくたびに、ごうちゃんの持つ面白キャラクターへの興味が増していきました。おつきあいしていく人で、短い期間の内にいろいろ相手に対する感覚が変化していくのを目の当たりに感じられたのは、ちょっと嬉しくなるような感情でした。

ごうちゃんは東京都墨田区出身。子供の頃はジャンプ作品やガンダム系が大好きだったそうですが、いわゆる帰国子女?アメリカはマサチューセッツ州の高校と、カリフォルニア州のサンタ・モニカ・カレッジで勉強したそうです。…が、現地に友達も少なくやることがないので映画館によく行った。特に名画座によく通い、そこで映画に目覚めるのですが、その映画がなんと1970年代の東映のヤクザモノ。わざわざそんな地で目覚めるものでもない気がするのですが、それがごうちゃんの行く末を決めていくのですから、世の中は面白いです。

しかも映画「バトルロワイヤル」のパブ活動で現地に来た深作欣二監督と、その時一般の観客に過ぎなかったごうちゃんが、なぜか直接お話しする機会に恵まれちゃうのです。映画の面白さを熱く語る監督の感覚とお話がめっちゃ面白く、完全に映画を目指すことにしたのです。就職先は映画会社、そして深作監督がきっかけなので東映を…受けたかったのですが、当時は東映と東映アニメが隔年採用だったということで、東映アニメに縁があり入社したのです。

しかし、ごうちゃんの英語の才能を会社が放っておくはずもなく、入社1年目の1月からフランスへ転勤。それから4年間ヨーロッパでアニメ作品営業のお仕事をする事に。パリに居住し、まわりのイタリア、スペイン、ドイツ、中東、イスラエル、アラブ諸国を次々訪問。もう話を聞くだけでうらやましくて仕方ない環境です。

「ワンピース」はもちろん大人気なのですが、それぞれの国がその国の歴史などを勝手にストーリーに重ね合わせて理解しているのが面白かったとか。その“理解する”レベルがすでに高いのですが。そんなごうちゃん、東映アニメの関弘美プロデューサー(ボクは同志と思ってます!)がロケハンでフランスを訪れた時に出会ったのをきっかけに企画部に異動、「ドラゴンボール改」でのプロデューサーデビューを果たし、「聖闘士星矢Ω」を担当。そして、人事交流で東映に出向して「烈車戦隊トッキュウジャー」「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と特撮作品の現場を経験したんだって。

企画職からの異動を機に作品を作っていく感覚を維持すべく、東映アニメから巣立ち、今のアニプレックスに転職。そして「恋は雨上がりのように」などを手伝いながら、今回の「シティーハンター」で見事に新天地でのプロデューサーデビューを果たすということになる。う~む、転職してもなんかエリートの道ですね。

ちなみにボクの友人先輩、東映アニメの清水慎治さんは部下だったごうちゃんのことをボクに話すにあたって「マジメな大器晩成型だ」って教え伝えてくれました。もう充分大成してると思うのですが、新人のごうちゃんにそんな印象を持っていたのですね。

というわけで、現在公開したばかりの劇場版「シティーハンター 新宿プライベート・アイズ」。ここに至るまで本当にいろいろありました。サンライズの小形尚弘プロデューサーと2人がこの作品をメインで支えて来ました。サブタイひとつ取っても決まるまでの苦労は横で見ていてよくわかっています。でも出来上がるまでのすべての出来事が、明らかにごうちゃんの血となり肉となっているのが強く実感できています。これからどんな企画を進めていくのかわかりませんが、どうかこの作品をごうちゃんのトップスタンスにしてもらって、どんどん先へ向かって突き進んでいってほしいです。でも、もし次の「シティーハンター」を手掛けられるとしたらそれが一番かもしれませんね。ホント、お互い全力でがんばっていきましょう!