• 『アニ民特別編』-ありがとう辻谷さん-
  • 『アニ民特別編』-ありがとう辻谷さん-

  • 2018.12.13

今週のアニ民はまた特別編、この前の10月17日に急逝された辻谷耕史さんです。突然のお別れからまだ2ヶ月なんですね、未だに起きたことが信じられない日々を送ってる気がします。思えば「犬夜叉」で一緒になってからいろんなシーンで一緒でした。そしてそのどれもが「犬夜叉」関係の集まりだったりお仕事だったりするのですが。

「犬夜叉」弥勒役に辻谷さんを押したのは確か音響監督の鶴岡さんだったと記憶してます。キャラクターに合い実力もあってなおかつ、今までの高橋留実子先生のアニメに大きな役で出演してなかったという要素もあったのでしょう。

そんな辻谷さん、この作品、番組が進行するにつれてキャラクターたちがファミリーのごとく結束していくように、声優さんやスタッフなどアフレコメンバーもステキなチームワークに包まれるようになりました。そんな空気を好んでか、辻谷さんが毎週毎週(だったか?)「犬夜叉のつぼ八」というエッセイみたいなウェブ連載を始めたんですね。実際にはつぼ八では飲んでいなかったのですが、みんなでワイワイやってるのを「居酒屋つぼ八」に見立てて、毎回のアフレコの様子や演じる声優さんのこぼれ話など話題が楽しく豊富に語られていました。

確かボクのコトもいくつか書いてくれてたと思うのですが、今は見れないのが残念です。けっこう続いてたので、まとめて読めれば本当に素敵な思い出なのですが。そしてそんな活動を見てる人はいるものです。ボクの友人でもある早稲田大学国際教養学部教授森川友義さんが、アニメアフレコや声優さんについて論文を書くパートナーに選んだのが辻谷さん。辻谷さんと森川先生による共著論文の形式で、しっかり2本も『メディア史研究』の論文(「声優のプロ誕生 海外テレビドラマと声優」、「ラヂオ声優 声優の誕生とその歴史的発展」)になっているほどです。

辻谷さんと最後にしっかり会えたのは9月1日のことです。ほぼ「犬夜叉」チームで夏のクルージングに行く計画を立ててたのですが、今年夏の連続台風来襲のあおりでクルージングは中止、そのかわりお昼からみんなでワイワイランチパーティーをしようとなったのです。仲間のおかげで思った以上に豪華で楽しい高層階ラウンジパーティーが出来ました。メンバー全11人、そこの辻谷さんはいつものごとくナイスガイ。あの声で話している内容はウィットに富み、静かに飲んでいても存在感があるのです。


辻谷さんが一番気に入ってたというプロフィール写真。

辻谷さんが一番気に入ってたというプロフィール写真。

9月1日のランチパーティーにて。左からボク、和田薫さん、辻谷さん

9月1日のランチパーティーにて。左からボク、和田薫さん、辻谷さん

辻谷さんは二人でのんきに話していても、話が核心を帯びる時はきっちり目を見て話してくれます。どうも狭いところが苦手のようで、ボクがMRI検査の前日、辻谷さんと検査の件を話してしまって、その苦手さをトクと話され、ボクは明日の検査が大丈夫だろうかと思ったコトもありました。基本的にはシャイな人だと思うのですが、興が乗ればさすがにアーティスト!その場を盛り上げまくるのは宮古島ツアーでも何度も楽しませてもらったものです。公私ともに本当に頼り甲斐あるタフガイ!でした。

今も強きつながり「犬夜叉」仲間の渡辺久美子さん(=くーちゃん)と一緒に辻谷さんのことを想います。出会いもお祝いも飲み会もすべて犬夜叉エリアでの物語ともなっていました。本当に素晴らしいカップルと一緒に活動できたことを誇りに思います。そしてこれからボクらはくーちゃんや仲間たちと歩いて行くのです。そこに辻谷さんは必ず見守ってくれています。

弥勒は自分の宿命だった「風穴」を見事克服しました。でも辻谷さんはおそらくその風穴の向こうに行ってしまったのでしょう。何回言っても言い足りませんが、最後にもう一度ここで言わせていただきます。辻谷さん、本当に素晴らしい作品と一緒に過ごした日々をありがとうございました!