• 『アニ民270人目』プロデューサーの石川啓さん
  • 『アニ民270人目』プロデューサーの石川啓さん

  • 2016.02.04

 今週のアニ民は東映アニメーションのプロデューサー石川啓(ひろむ)さんです。石川さんと初めて出会ったのは今放送中の「金田一少年の事件簿R」最初のシナリオ会議でしたでしょうか。ボクの師匠の一人・東映アニメ清水プロデューサー(=P)が「このシリーズはちょっと面白い人に担当してもらうことにした」と会議室で紹介してくれたのです。どう面白いかというと、石川さんは本来は東映株式会社の所属。そうなんです、あの実写映画会社の人なんです。それが人事交流とかで東映アニメに出向してきて、今回番組付きのプロデューサーとなったそうなのです。

 とあっさり書きましたが、組織的な動きは確かにそうでも、実際に初めて番組を担当してみるのは大変なコト。今回も前シリーズを盛り上げてくれた大先輩の西尾大介Pや木戸睦Pと、社内で相当会話や打ち合わせをした上での作品プロデュースとなったようですが、現状の制作進行を見ていると石川さんのナミじゃない能力が際立っていると思います。

 だいたい東映の方では実写TVシリーズをずっと手がけてきたそうで、どんな経路を通って金田一Rにたどり着いたのかを聞いてみました。石川さんは出身はボクと同じ愛知県、大学から上京したそうです。大学の専攻はなんと法律、金田一Rってもしかしてピッタリじゃん。小さい頃から松平健さんの「暴れん坊将軍」が好きでチャンバラ遊びが大好きだったり、安室奈美恵さんをよく聞いていたという大学まではごく普通の少年だった石川さん。大学で映画作りのお手伝いをするチャンスを得て、大学のワークショップに参加。商業用映画のロケを手伝ったりした経験を重ね、映画会社を中心に就活し、見事、東映株式会社に至ります。

 東映で一番最初の作品は「侍戦隊シンケンジャー」。アシスタントプロデューサーとして相当現場で鍛えられたでしょうね。その後「仮面ライダーオーズ」などを経て「烈車戦隊トッキュウジャー」も担当。そして東映と東映アニメの人事交流として初めてのパターンとして東映アニメに出向となるわけです。

 初アニメは「マジンボーン」、でもその途中で急に話が起きたのが金田一R。実はミステリー好きな石川さん、東映に入社する時もミステリー希望を公言してたらしい。そのコトを聞きつけた清水Pのさすがの采配ですね。というわけで石川さんにとっての初めてのメインプロデューサー作品がめでたく金田一Rとなったのです。

 シナリオ会議が終わりボクと石川さんとの接点は主にアフレコとダビング。アフレコにしても役者さんがいかに気持ち良く演じられるような映像素材の準備ができるかが当たり前に大切。シリーズディレクター池田さんはじめ大勢のスタッフを取り仕切ってベストなタイミングでベストな状態に持っていく、簡単に言いますが絶対タイヘンなコトです。しかもそれが毎週必ずあるのですから。

 このシリーズでは音響作業スタジオは前シリーズと変わって少し都心から離れた場所になりました。なので松野さんら役者のみなさんも通うのに少し労力がかかります。アフレコそのものの映像素材充実はもちろんですが、収録後の打ち上げも役者のモチベーションキープやスタッフコミュニケーションに大切な要素。ボクも毎回おつきあいさせてもらうのですが、石川さんが選ぶお店がかなりユニーク。串揚げオンリーだったり画廊を兼ねてておばちゃんが一人でやってたり。

 見た目は前髪がワイルドで笑顔がステキな石川さん。今は二階堂里紗Pと2人3脚で金田一Rをバリバリまわしていってくれてます。年末の1時間SP「明智警部の事件簿」小林刑事役に千葉雄大さんをキャスティングしてくれたのも石川さんでしたね。さあ今は「雪鬼伝説殺人事件」シリーズが快調に放送中ですが、まだまだ面白いエピソードが控えています。これからもどうか金田一Rの旗印となって作品を牽引していって下さい。そしてそれから後の石川さんの動向は興味津々、心を込めて注目していきますね。