• 『アニ民249人目』元読売テレビアニメプロデューサーの佐野寿七さん
  • 『アニ民249人目』元読売テレビアニメプロデューサーの佐野寿七さん

  • 2015.03.26

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 今回は僕の大先輩でもある、元読売テレビアニメプロデューサー佐野寿七さんです。1985年8月、僕がYTV東京支社編成部に着任した時は佐野さんは東京支社制作部のドラマプロデューサー。当時抜群の人気を誇っていた「木曜ゴールデンドラマ」を何作も手掛けていました。ちなみに佐野さんが一本あげるなら「霧の海から」という作品だそうです。

 実は入社3年目の僕は東京支社制作部で作っていたアニメを編成部で引き取り、新たにアニメ戦略を起こしていこうという動きの中で異動したものだったそうです。なのでそれまでのアニメ制作の先輩ということで、隣の部署にいる佐野さんのデスクによく行きました。ただいつ行ってもすごい忙しさで、仕事先のお名前だけお聞きして行動。先方をたずねてお話を聞くと、「ああ、あの佐野さんとこの…」と話は早く切り出し易かったです。ただそれだけに佐野さんの大きさを感じながらの企画提案話など、実はアニメ初心者の僕にとってはハードルが高いものでした。

 僕が最後に演出した1988年8月に放送された特番「よみうりテレビアニメ30年史」には佐野さんにも出演してもらい、「巨人の星」にさかのぼる当時の話をいっぱいしてもらいました。主題歌の誕生秘話や実際の巨人軍やスポンサーとの交渉話など、佐野さんならではのおタカラ話の宝庫でした。佐野さんが手がけた映画「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」やTVシリーズ「ルパン三世パートⅢ」の時代になると僕がちょうど入社した頃です。なので僕は佐野さんのアニメで小さいころから社会人までお世話になったことになります。

 YTVを引退されてからは大学で教鞭をとったり、著書を書き下ろしたり、大なり小なりその活躍は僕の耳に入ってきていました。そんな佐野さんがこのたび東京アニメフェアアワードの功労賞を受賞されることになりました。この賞、僕も審査員をさせてもらったことがありますが、きわめて名誉なものであります。佐野さんの築きあげてきた逸話ひとつひとつがTVアニメの歴史を語っているのです。プロデューサーの大先輩として本当に誇るべきものです。

 それにしても実は今の「ドラえもん」の原型企画書を作って、残念ながら社内の理解は得られなかったものの、結局今のADKとシンエイ動画のタッグの橋渡しをしたり、それまでなかった大人をもターゲットにした、初代「ルパン3世」スタートにまつわる武勇伝的お話、なんていう実話ネタがボロボロ出てきちゃう佐野さん。「侍ジャイアンツ」番場蛮や「タイガーマスク」伊達直人も原作がすごいのはもちろんですが、TVアニメとしては全部佐野さんのエリアの中で大きくなったと言っても過言じゃない。ああ、後輩として同じくアニメをプロデュースする立場として、本当にすごいなあと感心するのみです。。

 僕が異動してアニメ担当になる直前の佐野さんの作品は「一つ星家のウルトラ婆さん」。良くも悪くもこの作品は僕にとっての一つの試金石となりました。佐野さん、まだいっぱい聞いてないことがありますよ。近く功労賞のお祝いにぜひ一献よろしくお願いいたしますね。写真は功労賞受賞ステージ前で佐野さんと僕です。