• 『アニ民211人目』 脚本家の前川淳さん
  • 『アニ民211人目』 脚本家の前川淳さん

  • 2013.11.28

 今週のアニ民は脚本家の前川淳(あつし)さんです。

 ここでは前川さんの事を何時ものように前(まえ)さんと呼ばせてもらいます。前さんと初めてあったのはもちろん2009年3月に放送されたNTV開局55年YTV開局50年記念TVスペシャル「ルパン三世vs名探偵コナン」の立ち上げの時です。というか、実はこの企画、始める時は気合入れまくっていて、シナリオのオーディションをしているのです。集められた3つの企画書の中から選ばれたのが前さんのだったのです。それは2007年秋のことでした。

 前さんのシナリオデビュー作は1995年「ドラゴンボールZ」だそうです。引き続き「デジモンアドベンチャー」や「ボンバーマンジェッターズ」などのシリーズ構成も手がけるかたわら、「美少女戦士セーラームーンセーラースターズ」や「フレッシュプリキュア」など女児ものシリーズにも参加かしていたそうです。

 で、ルパコナのきっかけはもちろん前さんがルパンの2005年7月放送のTVスペシャル「ルパン三世 天使の策略 ~夢のカケラは殺しの香り~」の脚本を書いていたことです。そこでこちらサイドからこーゆー企画のオーディションに参加してみませんか?と話を持ちかけたのでした。正直言って最初はお互い本当に試行錯誤の連続だったと思います。前さんのストーリー骨組み提案通過は、それからの苦労のホンの入り口に過ぎないものでした。なんにせよまったく別作品が同じ映像上に同化しなければならないのです。キャラクターはもちろんその世界観も一つのお話の中に破綻なく描いていく、これは言葉で言うほど簡単ではないのは想像に難くありません。

 とにかく前さんの努力に原作者・青山先生やモンキー・パンチ先生の協力、そして亀垣監督の手腕のおかげで金曜ロードショー「ルパコナ」は見事高視聴率を獲得。僕たちは次の5年後の周年企画を目指して行動を開始したのでした。

 前さんは今回の「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」の方がより大変だったと言います。というのもまずは前回薄かった対決色を強調しなければならないこと、そしてスケール感の増大、さらには登場キャラクター数の増加など、考慮していかなくてはならない面が多すぎて、それを一本の作品としてまとめる力量は並大抵のことではありません。前作以上に青山先生の協力もあって、絶対超オススメの傑作に仕上がったのを素直に今ここで報告いたします。本当にこんな最高な映画が出来たんだよ、ね、前さん。

 ルパコナのおかげで前さんと僕のお付き合いがいろいろ始まりました。「名探偵コナン」のTVシリーズでも2011年9月「プロモビデオ撮影事件」で初めて参加してもらってます。なぜかイベント系なシナリオが多く「世界一受けたい授業事件」や現在進行中のJR西日本ミステリーツアーをお願いし、その度ごとに事件舞台を上手にからめた面白いシナリオに仕立ててくれました。その中でも特に僕が気に入っているのは今年3月に放送された「依頼者からのメッセージ」。僕が好きだったこのトリックのお話をしちゃうと、すべてわかってしまうお話ですが、アニメオリジナル30分作品としてすこぶる良く出来てます。

 さらにプライベートではお互いワイン好きなところがしっかり共通。前さんはイタリア派なんです。まあこちらはこれからもゆっくりとその世界を極めていきましょう。というわけでみなさま、TVではJR西日本ミステリーツアーの「名探偵コナン 火と水のミステリーツアー(阿蘇編・熊本編)」11月30日・12月7日放送を。そして映画は12月7日公開「ルパコナ」と前さんワールド一色のコナンでどうぞ華麗な年末をお過ごしくださいね。前さん、我々も時間をとってそんな年末を過ごしていきましょうね。