• 『アニ民354人目』声優で講談師の一龍斎春水さん
  • 『アニ民354人目』声優で講談師の一龍斎春水さん

  • 2019.09.26

 今週のアニ民は声優で講談師の一龍斎春水さんです。といってもボクにとってはずっと前から麻上洋子さんなのですが、ここでは春水さんと呼びますね。だいたい前回の玄田哲章さんといい、春水さんといい1987年4月放送開始の「シティーハンター」スタート時からのおつきあい。10年続いてるこのアニ民でまだ書いていないのが、ボクにとってはマジ不思議な人たちです。

 というわけでボクが春水さんに出会ったのは、「宇宙戦艦ヤマト」森雪などの演技イメージが定着していてアイドル的でもあり、ちょっと簡単に声をかけにくかったタイミングと記憶しています。だってオーディションでお願いした役はの大人の色気たっぷり、主人公・冴羽獠を翻弄する凄腕刑事・野上冴子。ということは演技も含めてかなりな新境地に挑む人気声優、だったワケです。でも実はその時、春水さん自身も良い子なヒロインじゃない演技に挑戦してみたかったそうですから、当時の音響監督・浦上靖夫さんの眼力も大したものです。さらにそのチャンスを自らモノにした春水さんもすごいですね。さらにさらに神谷明さんはじめ、そんなスタッフに支えてもらう事になる「シティーハンター」という作品もホントいろいろ持っていたのです!

 それから32年経って今年劇的な復活を成し遂げた、劇場版「シティーハンター 新宿プライベートアイズ」の春水さんの活躍は、その時間経過が無かったようなパワフルで妖艶な演技に裏打ちされてます。本当に楽しくステキな映画となり、心から感謝です。と、まあ、声優エリアの話はちょっと置いといて、今はやっぱり講談師・一龍斎春水でしょう。

 声優と同じく声を使う語り芸に興味を持って、一龍斎貞水師匠に師事したのが1993年。それから約10年で真打に昇進するのですが、その真打ちお祝いパーティーにボクも呼んでいただいたのです。同テーブルに羽佐間道夫さんがいる賑やかな会で、華やかな着物姿の春水さんに圧倒された記憶があります。そして何度か高座も楽しませてもらってますが、なんというか調子もいいしキップも良い、明瞭で少し艶っぽい語り口につい引き込まれてしまうことは請け合いです。

 「スワラジ」に出演いただいた時も、アニメの声優は芝居の下手な役者がやってるんだ、とか、声優は売れない役者のお小遣い稼ぎ、とか言われてた時期に、アニメが好きで声優になりたくて声優になったと言ってました。そしてそのことをその時期から堂々と主張もしてきたという春水さん。春水さん演じる野上冴子はともすると峰不二子に比べられるけど、元々ついてる職業が違うし、敏腕刑事キャラを念頭において春水さんの演技を楽しむとまたその存在感がひとしおです。これからも何というか冴子を演じる感じで?講談の師匠としての活動をがんばってください。声で表現する世界のその奥を貪欲に求めていくカッコいい春水さんを、心から応援しますし、今後ともどうかよろしくお願いいたしますね。