• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民11人目
  • 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民11人目

  • 2009.10.22

 今週の住民はアニプレックス執行役員常務・植田益朗さんです。

 この業界で僕にとって誰が恩人かってこの人を抜きには語れません。「シティーハンター」「ガンバリスト駿!」「犬夜叉」とか、そのお名前がクレジットされてる作品はいくつかあるのですが、クレジットされなくてももろもろご指導いただいた作品は数限りなく?あるのです。

 そんな植田さんと知り合ったのは、新宿は歌舞伎町のど真ん中にあったパブでした。あれは1996年7月ごろでしたか、まったく偶然にそれぞれの連れ合いに連れてきてもらってたその店でばったり初対面して名刺交換。その2.3日後にはもうYTV東京支社に初訪問してくれてます。

 その当時「日本サンライズ」といってた植田さんの会社はオリジナル作品しかやらないですよね、という僕に「今やってるのはこれです」と見せてくれたのが映画「バツ&テリー」でしたね。今も活動中のスターダストレビュー「心の中のFollow Wind」の主題歌がピッタリのナイスな作品でした。その前には某局で「銀河漂流バイファム」も手がけ、同時に超有名なガンダムなどいろいろな作品を仕掛けていた人と一緒に、その年末から「シティーハンター」にどっぷり入っていく事は想像さえしてませんでした。

 プロデューサーとしての植田さんのものすごい実力はその手がけた作品群をみればよくわかりますが、近くにいて感じることは“作品に対する大局観”でしょうか。自分の持つ作品世界に対するベクトルは強靭でしかも熱くて冷静、どんな時にもブレません。簡単に言うと、やりたいことは曲げませんがやれるならどんな変化も受け入れる、てな感じですね。でもそれを実行できるのは類まれな情熱とわかりやすいコミュニケーション、つまりは人柄でしょう。

 そんな植田さんとの想い出の1番はこれ。

 あの「シティーハンター」主題歌を発注してそのデモテープを、当時流行っていたウオークマン(もちろんカセットテープの)のイヤホンをお互いに1つづつ耳にして聴いたその曲が「GET WILD」。銀座4丁目三越の喫茶店から冬の銀座通りを見下ろしながらのことでした。クライマックスのシーンにかかるからあまり立たないように、とお願いしたあのイントロがそうは言っても妙に衝撃的にシンプル過ぎない?と思ったのも忘れられません。でもその都会的センスをまとった小室哲哉さん作曲のスピーディ楽曲が、その後のアニメ主題歌の歴史の一つになったのですね。

 他の方々もそうなのですが、植田さんとのことはこのページでは書きつくせません。また機会あればパート2としてお話したいと思います。でもそうやって2人ともここ20年以上別々にも作品を積み重ねてきたんですよね。今共通してるのは外務省文化交流課での「アニメ文化外交についての有識者会議」だったり、東京国際アニメフェアの功労賞審査員だったり。植田さんもなかなか身動きしにくい立場になられてますが、身体だけはご自愛しつつ、お互いに楽しい作品作りを目指してがんばりましょうね。