• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民89人目
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  • 2011.04.28

 今週はアニメーション監督 故出崎統さんです。

 …妙に訃報が続きます。なんと悔しいことでしょう。またもや大好きな業界の大先輩が亡くなってしまいました。なにもかも早すぎます…。いろいろお話させていただいた出崎さんに、初めてお会いしたのはいったいいつのことだったでしょう。出崎さんは今だってそうなのに、アニメーション業界に入りたての僕にとってもうあまりにも高くて見えない雲の上の存在でした。

 その当時演出方法のあれこれを聞くというよりは、どう描いたら動かしたら面白くかっこよく見えるのか、みたいな話を聞いた気がします。それでわかった気になったりするんですが、実はその面白さかっこよさを、どんな才能でセンスで判断し表現するかできるか、そこが大事なんですよね。なんとか自分なりにそこを追求してがんばっていくのですが、勉強や努力で成せるものではありません。そこを飛びぬけた美的センスで平気でやってのけてた“出崎さん才能が凝縮した画”を、いつも心の中で思い描いていた自分がいました。

 実は出崎さんの想い出は特にゴルフにいろいろあります。やせてた体型に似合うといっていいのか、スイングがすごく個性的でした。僕はマリオネット的と表現しますが、決してマネができないスイング。(手塚プロ・松谷社長はこの出崎さんのスイングを弔辞の中で“変則打法”って言ってました)なのにインパクトは素晴らしく、見事なスコアであがってきます。ほんの一瞬のインパクトの瞬間にすべてを賭ける凝縮、これは出崎さんの演出スタイルにつながっていたように思います。

 出崎さんのホリの深い顔立ちに長い髪、パーティー会場でグラスを持って少し前かがみに立っている姿は、出崎さん自身が描いた「あしたのジョー」力石の立ちスタイルにスッと重なります。先に雲の上の存在って書きましたが本当にそうなってしまいました。いつでも会えていつでもお話が聞ける、そんな風に思っていたのは僕のおごりだったのでしょうか。10回前のアニ民で書いた片山さん同様、年末の手塚プロの忘年パーティーが最後になってしまいましたね。

 4月21日の多摩霊園。今にも泣き出しそうな空の下、アニ民によく登場してもらう丸山さんが、なんと出崎さん16歳のころのマンガ原稿を葬儀会場玄関に飾ってくれました(写真)。ホントによく探し出しましたね、でも大事にしてあったんだろうな。…手塚先生の影響がある50年以上前の高校生の絵に、それからずっと貫かれることになる“出崎イズム”も感じた方も多かったに違いありません。

 「千の風になって」という歌があります。今までも僕にとっての出崎さんの作品はまさしくこの歌そのもの。たくさんの風を本当にありがとうございました。これからもその風を感じてがんばっていきます。享年67歳、心よりご冥福をお祈りいたします。