• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民112人目
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  • 2011.10.13

 今週のアニ民は声優の山寺宏一さんです。

 ここではいつものようにやまちゃんと呼ばせてもらいます。ぼくがやまちゃんと初めて会ったのは1986年10月スタート「ボスコアドベンチャー」のオーディションです。なかなかこの日記にも登場しにくいタイトルになってしまってますが、ぼくにとってはいろいろクサビを打ち込んだような思い出が多い作品でした。“オッター”というかわうそ役がやまちゃんです。実はやまちゃんはこれがアニメのレギュラーデビュー、アプリコット姫の皆口裕子さんもそうでした。

 今ではスタジオが引っ越してしまった四谷の映広音響、狭い階段を上った2階が作品つくりの場所だったスタジオでした。当時の日本アニメーションのプロデューサーは遠藤重夫さん、それから長くプライベートでもお付き合いすることになります。僕がアフレコ後に必ずみんなで一緒に食事などをする、ってパターンはこの時期に確立された気がします。で、スタジオ近所のSっていう店、ここ今もあるのかな?そこでのスターが当時まだ新人だったやまちゃんでした。

 今はTVでも超一流となっているカラオケモノマネの僕たちへの初披露曲は郷ひろみ「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」。まだカラオケも8トラなんてやってた頃じゃあないでしょうか、振り付けから完璧にこなしていたやまちゃんに、他のお客からも拍手喝采だったのは当然ですし、仕事後のそーゆー時間が超楽しみにもなっていました。

 「シティーハンター」にも最初から出演してもらっていました。と言っても番組レギュラーといって役はたとえば殺し屋Aとか…、これもまた当時新人に近かった茶風林さん[33]といっしょに冴羽リョウ=神谷明さん[12]に何度撃たれて倒れたことでしょう。そしてその頃から垣間見えてたまれにみる演技の舵取りや発声の才能が、その後のやまちゃんに爆発的な活躍をさせることになります。「シティーハンター」で言えば1997年シリーズ2本目のTVスペシャル「シティーハンター グッド・バイ・マイ・スイート・ハート」でリョウに敵対するプロフェッサーという主役級キャラを演じてくれました。つまり10年でザコ役から主役に大出世なわけです。

 一緒にデビューしたような気になっていた僕は、そのまぶしく輝くがごとくの成長と活躍を半ばあきれて傍から見ていた時期がありました。あまりのユニークで広域な仕事量に、これはなかなか忙しく時間がもらえないなと思っていたのですが、ひょんな縁で年に数回食事していて近況を交わしていたころ出てきた話が「ヤッターマン」です。このリメイクにあたって名優・故富山敬さんの演じたナレーション役をぜひにとお願いしたのです。

 ちょうどやまちゃんも事務所を変わったりする時期だったのですが、なんとか引き受けてくれてあの「ヤッターマン」になりました。いろいろ意見交換しましたが、結局ナレーションだけにとどまらず、おだてブタからヤッターメカあれこれまで最高16ものキャラクターを演じるハメに、いや演じていただけることになったのです。特にヤッターメカ勢ぞろいしてのセリフリレー、あれは圧巻でしたね。いやーどうやってあの瞬間に強弱というか高低というか、それぞれの発声の調整をしているのか、まさに神業と言えるものでありました。

 そんなやまちゃん、最新のご一緒企画が実写映画「神☆ヴォイス」。やまちゃんの役どころは文字通り神ヴォイスの持ち主?大御所声優・久保寺辰之進であります。その出演シーンの収録ではスタッフも思わず笑ってしまう迫真の演技、もうさすがとしか言いようがありません。思い出すたびに今でもなんだかジーンと来ちゃいます。このやまちゃん、ぜひ映画で味わって欲しいものです。

 …とにかく山ちゃんについてはいくら書いても書ききれるものではありません。願わくば健康にだけは注意して、これからもコトあるごとにその神業を期待させてください。こちらもその神業に負けないような企画を提出していきますから。で、いつもの食事会をなるはやで決めましょうね。