• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民137人目
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  • 2012.04.12

 今週は俳優声優の千葉繁さんです。

 千葉さんの演じたキャラクターを紹介しようと思ったら、いくら紙幅があっても足らないでしょう。そのアドリブ演技は誰をも超越し、そのテンションの高さはいくつかの作品で伝説になってます。僕がそんな千葉さんと初めてお会いしたのは「シティーハンター」のゲストですが、それからも僕の担当作品レギュラーとしては、なぜかあまり出演してもらうご縁がなく、最近まで一緒にドップリお話する機会がほとんどないままでした。でも「北斗の拳」で共演した神谷さんからも千葉さんのウワサはよく聞かされていました。演技はもちろん、キャラクターも最高に面白い人ですよって聞いていたんで、いつもすごく気になっていたんです。

 千葉さんとしっかりおつきあい出来た仕事はあの実写映画「神☆ヴォイス」です。主人公たちのライバルにあたる優秀精鋭な声優学校、「秋葉原ヴォイスアクティングアカデミー」の学校長を演じてもらったのです。ご覧になった方はもー、すぐに千葉さんだってわかるし、千葉さんの演技力をご存知でない方も、これがいかにも主人公たちのライバル校なんだと、容易に想像できる学校長でした。なにせ演技が大きいというか面白い。一のことを百くらいに見せる感じだし、そしてそのキャラクターのブレ方がユニークでこちらの予測を軽がると超えてくれちゃうし、どっからあんな沸き起こってくるようなエネルギーを生み出せるんでしょうか。あの身体全体を動かしながらの「我が秋葉原ヴォイスアクティングアカデミーでは…(なぜかヴォやアクあたりで不必要に発音を伸ばし、伸ばした手が発音にあわせて大きく動いています。)」のセリフ回しは今でも脳裏に焼きついています。

 というわけでみなさんご理解の通り、この学校長はしっかり悪役でした。本当にかなりズルくてイカンヤツなんですが、でも物語が終わってしまうとどーゆー訳か全く“憎むキャラ引き出し”に入ってない。これが千葉さん。シナリオ作りの段階からあったのが、ジャケットの内ポケットに食事をする際に使う調味料がいっぱい仕込まれているというキャラクター設定。今でも千葉さんに会うと、内ポケットを覗いて見たくなります。

 そんな千葉さんにこの度の映画「名探偵コナン 11人目のストライカー」に出演いただいたのですが、実はコナンへの出演は今回が初めてなんです。容疑者の一人、日売テレビスポーツ情報局部長・山森慎三の役。ちょっとコミカルな言いまわしをする、イカにもTV業界にいるかもなチョイ軽キャラクターを見事に演じてくれました。多くは語れませんが、そのキャラや演技に大注目願います。

 だいたい千葉さんの演技は「暴れる」っていう言葉がピッタリ来る気がします。演じる役やキャラクターに対して常識的に定められている枠があるとするならば、その枠組みを壊すというかのり越える演技なんですね。

 このほどいただいた名刺には“C&Oアクターズスタジオ’取締役 所長”なんてことになっています。墨田区で後進の指導をされてる、というわけで今後は千葉さんの暴れっぷりを模したようなミニ暴れ役者が次々に誕生してゆくのでしょう。そこから千葉さんを大きく乗り越える人材そして人間、これを育てる事が出来るには、結局いろんな意味ででっかい芝居ができる千葉さんしかないでしょうね。