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#077「ボリビア/ラ・パス」 10月25日(日) 午前10:25〜10:55


 今回のお届け先はアンデスの山々に囲まれた南米ボリビアの世界で一番高い場所にある首都ラ・パス。標高はなんと約4000m。ここでアンデスの民族音楽・フォルクローレのプロミュージシャンとして活躍する秋元広行さん(32)と、奈良県に住む父・重雄さん(65)、母・秋子さん(64)をつなぐ。「現地でバンドをやっているところはまだ見たことがない。一度見に行きたいとは思うが…私は心臓が弱く、医者から"行ってもいいけど、位牌になって帰ってくるで"と言われました(笑)」という父。心臓病を患っているため、負担のかかる高地ラ・パスへは、行きたくても行くことができないのだ。

フォルクローレはボリビアを代表する民族音楽で、愛や家族、生活など大衆の心を歌った魂の歌。広行さんは大学時代、そんなフォルクローレに魅せられ、卒業後単身ボリビアへ渡った。以来10年、現在は自身のフォルクローレバンド「アナタボリビア」を組み、ボーカル、ギター、曲作りを手がける広行さん。今年、バンドはフォルクローレのグラミー賞と呼ばれる祭典で数々の賞にノミネートされた。アナタボリビアは今や人気、実力を兼ね備えたバンドとして、ボリビアの人々に愛されているのだ。

両親について、広行さんは「父には"人と同じことをやっててもしょうがない"と言われて育った。母は"子供は自分の思い通りにならん"と僕が子供の頃から言っていた」と話す。ボリビアへ来るときは「親に1年だけ行かせて欲しいと頼んだ」という広行さん。それがもう10年。両親は音楽一筋に頑張ってきた息子を、何もいわず見守ってくれた。「ちゃんとCDを出したりコンサートをしたり…ここまで来たよ、ということを言いたいですね」と。

バンド結成から4年。その実力を認められるようになった広行さんたちには目指す夢がある。それは「ボリビアの代表として世界に出られるグループになること」。それを聞いた父は「我が息子ながら大したもんや」と顔をほころばせる。そんなアナタボリビアのコンサートが週末に町のライブハウスで行われた。広行さんは「お父さん、お母さん。これが本当のボリビアのフォルクローレです。一緒に楽しんでください」と呼びかけ、コンサートに臨んだ。開演時間はなんと夜中の12時。会場に詰めかけたお客さんは日本人の広行さんの演奏に酔いしれ、夜通し踊り続けるのだった。

そんな広行さんへ両親からのお届けものは1本のカセットテープ。そこには広行さんが幼い頃の泣き声やおしゃべり、童謡を歌うかわいらしい声が録音されていた。両親の愛情が詰まった時を越えた贈り物だった。そして広行さんは、ボリビアに来ることができない父への想いを「Padre父よ」という歌にし、ギターに乗せて歌う…。