【大阪メトロ初の試み】“廃車再生プロジェクト” 引退した車両の部品を再利用し“商品”へ

『SDGs』とは“持続可能な開発目標”の略で、国連が2030年までに達成を目指す目標です。全部で17項目の目標が掲げられていますが、今回の特集は「つくる責任・つかう責任」です。
大阪メトロで“初”の試みとなる「廃車となる車両の一部」を「別の製品」に生まれ変わらせるプロジェクトが2021年から始まっています。その取り組みを取材しました。

引退した車両のカーテンを使った扇子など

 車両のドアを使ったテーブル。 荷物をのせる網棚を使ったイス。カーテンを使った扇子やうちわなど、これらはすべて、車両の一部を使って作られています。

引退した車両(提供:大阪メトロ)

 大阪メトロの初めての試みで、引退した車両の部材を再利用し、商品として生まれ変わらせるプロジェクトです。これまで、引退した車両の部材は鉄道ファン向けに販売し、残りの部分は廃棄物の処理業者に引き渡していましたが、捨ててしまう部分を減らしながら、より多くの人に鉄道に親しんでもらいたいとの思いからこの試みが始まりました。

この日は提案が採用された11組のクリエイターのもとへ部材が手渡されました。

サンワード 池田 智幸 社長

(サンワード 池田 智幸 社長)
「いつでも持てるような便利使いできるカバンを作っちゃいます。楽しみにしておいてください」

かばんメーカー「サンワード」

 こちらは、大阪市内のかばんメーカー「サンワード」乗客を雨や風から守ってきた車両の連結部分を覆う布を社長自ら分解しています。

(サンワード 池田 智幸 社長)
「触るだけでもう本当に真っ黒、40年ぐらい使われているので、そのままたぶん汚れが…。強度も強く、特殊な生地なので、そういう生地の特性も活かしたデザインと形状にしたいと思います」

廃棄されるものを使ったリサイクル商品

 使用済みペットボトルや、廃棄されてしまう規格外の消防用ホースを使ったかばん。この会社では製品づくりを通じて社会貢献がしたいと取り組みを始めて10年になります。

(サンワード 池田 智幸 社長)
「SDGsというと大企業がある程度会社の義務として国から言われたことをやる、そういう取り組みが主になっていると思う。僕たちみたいな零細企業は、国が定めたことをそのままやるというのはなかなか難しい。ただそれを僕たちが先陣をきって、どういうビジネスモデルを作り上げると利益が出るのか、これをとにかくやりたい」

デザイン選定会議の様子

 池田さんは知名度や資金力の高い企業とタッグを組むことで、利益を出し続けることができる事業の実現を目指しています。

一過性のものではいけない 当たり前のこととして出来るように

サンワードが作った8色のかばん

 部材が引き渡されてから半年。クリエイターらが作った商品が一斉に発表されました。池田さんが作ったのは各路線のイメージカラーに合わせた8色のかばんです。

大阪メトロ マーケティング事業本部 乙井 一貴 課長

(大阪メトロ マーケティング事業本部 乙井 一貴 課長)
「何よりもこの下の部分は連結部分の素材を使っている。耐久性がよく、かばんにはうってつけではないか、こんな商品が生まれるとは思っていなかったので、非常に私たちもうれしい」

大阪メトロは、春に公式オンラインストアで商品を発売する予定で、池田さんのかばんは1万円程度の価格になる見込みです。

(サンワード 池田 智幸 社長)
「一過性のものではいけないと思う。やりはじめた限りはもうずっと長く、SDGsという言葉を使う必要もない、当たり前のこととしてできるように、長くこの商品を僕たちも作って販売できればいいなと思う」

会社の規模に関係なく続けていくことができるSDGsとはどんな形なのか。模索が続いています。

(「かんさい情報ネットten.」 2022年1月21日放送)

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