河野太郎元防衛大臣にロシアのウクライナ侵攻について生直撃!

元防衛大臣・河野太郎氏が読売テレビ「かんさい情報ネットten.」に生出演!元防衛大臣として、ロシアのウクライナ侵攻をどう見ているのか?ロシアの狙いは?プーチン大統領を止めるには?”核”使用の可能性は?プーチン大統領はどんな人物?日本がやるべきことは?直撃しました。

“停戦交渉”のポイントは?

Q.ロシアとウクライナの“停戦交渉”のポイントはどこになるのでしょうか?
(河野太郎衆院議員)
「ソ連時代に、ハンガリー動乱のときに戦車を送って、“話し合い”と言ってハンガリーの主導者を一か所に集め、全員を拘束して連れて行ってしまった、という前科がありますから、この交渉も果たして交渉と呼べるものになるのかどうか。おそらく、想定した軍事的な侵攻がウクライナの頑強な抵抗にあって上手くいっていない、そういう中でただ侵攻を止めて戻るということになると、プーチン大統領の威信にも大きく傷が付くということになりますので、そう簡単なことではないと思います。我々がウクライナを助けるために、さらにロシアに制裁を加えていくのか、あるいはロシアに協力しているベラルーシに対しても制裁をしていくということになるのだと思いますが、プーチン大統領は国内でもルーブルが“暴落”と言っていいような状況になり、様々な関係者が制裁をされ、さらに制裁強化ということになると、ロシアの中でのプーチン大統領の地位にも相当影響がでてくるだろうと思います。その間、ウクライナがどれくらい頑張れるかということではないかと思います。」

Q.プーチン大統領の本当の狙いはどこにあると思いますか?
(河野太郎衆院議員)
「傀儡政権を作るという目的は、かなりはっきりしていると思います。クレムリンが予定稿で準備していたものが、どうも誤って流失したようなので、それを見ると『もうベラルーシとウクライナは我々の子分、我々の影響下だ』というようなことが書かれていますから、おそらく傀儡政権を作りそこにロシア軍を駐留させる、そこまでやろうとしているのではないかと思います。」

プーチン大統領を“止める”には?

Q.制裁にも限界があるとみられていますが、本当にプーチン大統領を止めることはできるのでしょうか?
(河野太郎衆院議員)
「そう簡単にこの軍事行動を止めることにはならないと思いますが、おそらくロシアの中でも、現状に対する不満というのが相当出てくるだろうと思います。個人の資産を凍結される人、あるいはさらに制裁の対象者を広げようという動きもあるようですから、そうなると今までは普通に生活をしてきたロシアのエリート層が、この軍事行動のために大変ひどい目にあってくる、それをどこまで受け入れるのか、というのもあるだろうと思います。そういう意味で、ウクライナがどのくらい頑張れるかということと、我々がどれくらいしっかりと団結をして、プーチン大統領に『こういうことをやれば、これだけのコストを支払わせる。それができるか?』と言う、この二つにかかっていると思います。」

Q.異例ですが、日本もSWIFTからの排除に同意しています、ロシアはこの制裁を予測していましたか?
(河野太郎衆院議員)
「おそらく何らかの経済制裁はあるだろうと思っていたから、北京オリンピックが終わるのを待っていたというのもありますけれども、そこは考えながら、いつ侵攻するかというタイミングは計っていたと思います。プーチン大統領はもっと早くウクライナが手を上げるだろうと思っていたのかもしれません。」

Q.このレベルの制裁は想定外だっただろうとお考えですか?
(河野太郎衆院議員)
「ここまで来る前に侵攻を終えて、ウクライナに傀儡政権を作ってしまおうと思っていたのではないかと思います。ウクライナが頑張れば頑張るほど、我々も制裁をきつくしていけるわけですから、プーチン大統領に対する影響は大きくなってくるだろうと思います。」

プーチン大統領“核”を示唆 使用する可能性は?

ロシア“核戦力”でけん制か

Q.プーチン大統領は“核”もチラつかせていますよね?
(河野太郎衆院議員)
「核を使われたときにどうするのかというのは、各国の首脳も悩ましいところがあると思います。軍事的な対抗をするのは難しい中で、やはり経済的な制裁や、ヨーロッパはロシアの航空機の乗り入れをすべて止めるということをやっています。おそらく日本もそれに追随していくということになるでしょうし、ロシアに対する輸出入を一方的に止めていくということも強化されていくのではないかと思います。」

Q.例えば人的被害が起こらない形で使える核、いわゆる“戦術核”を使用して、外交交渉の場でこれを使う想定はできますか?
(河野太郎衆院議員)
「本気で核を使うとなると、一線を踏み越えるということになります。逆に言うと、そこまでプーチン大統領が追い込まれたということも言えるのだろうと思います。今、想定と違ってきていて、プーチン大統領がどういう心理状況にあるかというのはなかなか分かりませんが、脅しではあっても、それは使わないで欲しいというふうに思いますね。」

プーチン大統領はどんな人物?

Q.3年前の日露首脳会談で、プーチン大統領と直接会って話をされていますが、どんな人物だと認識していますか?
(河野太郎衆院議員)
「安倍総理との首脳会談に、私も何度か同席させて頂きましたけれども、非常に表情の無い…安部総理とは何度も会っていて、気心も通じているのだろうと思いますけど、同席している我々からしてみると、何を考えているのかなかなか推し量りにくい、そういう人でした。」

Q.その表情からも交渉の難しさを感じたということでしょうか?
(河野太郎衆院議員)
「私も日露の平和条約の交渉に携わりましたけども、非常にそこは難しいものでした。」

日本がやるべきことは?

Q.G7と足並みを揃える形で日本も対応していますが、日本にできる役割はあるのでしょうか?
(河野太郎衆院議員)
「やはり経済制裁という中では、それなりに役割を果たすことができると思います。残念ながら日本は軍事的に動くことはできませんけども、この経済制裁という意味で西側をまとめてきちんとロシアに向き合っていく、ロシアに圧力をかけていく、それは日本としてもできるし、やらなくてはならないことだと思います。」

Q.日本が「サイバー攻撃」を受けるリスクについてはどのくらい危機感をお持ちですか?
(河野太郎衆院議員)
「ロシアは軍もそうですし、軍とは別のサイバー攻撃をする集団というのもおります。それが、欧米と一緒に制裁をしている日本をターゲットにする可能性というのは、決して少なくないと思います。ただ、今この現状をじっと見ているのが中国共産党だと思います。ロシアがウクライナに侵攻した時の反応が、恐らく中国が台湾に出た時の反応にも繋がるだろうと、どれくらいのことをやろうとしているのか見ていると思いますので、これは決して対岸の火事ではなくて、東アジアにも影響を及ぼす事態だとして、日本は対応していかなくてはならないと思います。」

懸念されるロシアからの“報復”

Q.すでに日本でも「ウクライナのようにやられっぱなしになるのは駄目だ」というような声もあがっていますが、このような声はどうお考えになりますか?
(河野太郎衆院議員)
「お隣の中国が、経済の発展と共に軍事力を拡大してきています。その軍事力は、どうも国を守るだけでなく、様々な一方的な現状を変更しようとしている。東シナ海、南シナ海あるいはインド、ブータンとの国境などで実際にそういうことが起きていると考えると、やはり日本も備えをしておかなくてはならない。特に台湾に中国が侵攻するということになれば、これはもう日本の南西諸島、九州が巻き込まれていくことになりますから、そのときにいかに国民を守ることができるか、ここは日本単独というよりは日米同盟、あるいは価値観を共有する他の国々としっかりと連携を強めてそれに対応していく、それを起こさせない、そういう用意がある、ということをしっかり発信していかねばならないと思っています。」

Q.その発信の仕方はどのように考えますか?
(河野太郎衆院議員)
「なかなか難しいところはあると思いますけれども、やはり現実にこういうことが起きる、少し前までこの世の中で、“武力で他国を侵略する”なんてことが現実にヨーロッパで起きると思っていた人は少ないと思います。しかし、現実にはこういうことが起きるし、東アジアでも起きかねない。そういう状況なんだということをまず共有した上で、日本の財政にも限りがありますが、その中でどういう優先順位で何を備えていくかということは、しっかり議論していく必要があると思います。」

Q.今、一番懸念される、ロシアの日本への“報復”は何なのでしょうか?
(河野太郎衆院議員)
「日本もロシアからエネルギーをはじめ輸入をしているものもあります。まずはそういうものを止めるよ、というものなんだと思いますが、それは政府としてもある程度は織り込み済みですし、逆にロシアの経済というのはエネルギーの輸出に依存していることも大きいわけですから、それを止めるということは自らの経済を抑えつけるということにもなりますから、どちらも痛い思いをしますが、こうやって堂々と他国に侵略し、核兵器までチラつかせるという“独裁政権”を止めるためには、ある程度の痛みは覚悟の上で、国際社会が協調してそれを止めることをやっていかなければならないと思います。」

Q.国民が直面する「エネルギーの値上げ」についてはどう説得していくおつもりですか?
(河野太郎衆院議員)
「石油価格や天然ガスの価格は、こういう状況になりましたので、すでに大きく値上がりしましたし、これはしばらく続きます。その中で日本だけがいい思いをするということはありませんし、できません。これを許せば、世界中のいろんな独裁政権が跋扈(ばっこ)することになりますから、そこは申し訳ないですが、みんなで痛みを分かち合って、ウクライナの国民はそれ以上の痛みの中で戦っているわけですから、ウクライナの国民を助けるという意味でも国際社会がきっちり団結していくことが大切だと思います。」

(読売テレビ 「かんさい情報ネットten.」 2022年2月28日放送)

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