命を運ぶ電車~JR事故10年 遺族の執念~
「悲惨な事故を二度とではなく、絶対に起こしてはならない」と考え、苦しみを抱えながら活動する遺族の10年。日本の鉄道史上最悪といわれたJR福知山線脱線衝突事故。遅咲きの桜が舞う2005年4月25日に発生した。兵庫県宝塚市の淺野弥三一さん(73)は、妻と妹を失い、次女の奈穂さん(42)がひん死の重傷を負った。奈穂さんは今も電車に乗ることができない。淺野さんはこの10年、被害者としての感情を押さえ、JRと共に「安全」を追求してきた。一方、企業の罪を問う刑事司法の創設を目指す遺族もいる。長女を亡くした大森重美さん(66)は「個人だけを裁く現在の法律には限界がある」と考え勉強会を重ねている。「鉄道の安全」を確かなものにするための遺族の執念を追う。






