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#140「東アフリカ/ウガンダ共和国」 2月27日(日) 午前10:25〜10:55


 今回の配達先は東アフリカの国・ウガンダ共和国。1980年代まで続いた内戦による政情不安が今も続き、多くの人が貧困に苦しむこの国で、農家に資金を貸し付けることで開発支援をする宮本和昌さん(28)と、大阪・和泉市に住む父・博介さん(55)、母・千代子さん(56)をつなぐ。アメリカの大学で国際開発を学んだ和昌さんは、「大学院に進む」という父との約束を反故にしてウガンダへ。父は本音では反対だったものの、黙って見送るしかできず、「息子のやっていることが本当に現地の人に受け入れられているのか心配…」と案じている。

 豊富な水と肥沃な大地に恵まれたウガンダは、農業への高い可能性を秘めているといわれる。だが多くの農家には資金がなく、自転車操業を余儀なくされているのが現状だ。そこに小口の融資をすることで支援しようというのが、和昌さんがやっているマイクロファイナンス。1年前に妻の真代さん(27)と2人で立ち上げた小さなNPOだ。和昌さんの融資の条件はたった一つ。5,6人のグループを組んで互いに監視し、助け合うこと。手続きは署名だけで、担保をとることもない。金利は月2・5%。大手の銀行に比べてもかなり低い設定だ。和昌さんは貸付に当たって、農家に納得してもらえるまで説明をする。「私たちはここに慈善をしに来ているのではない。皆さんを見下したりするのではなく、対等なビジネスパートナーとして考えている」。そう和昌さんは彼らに訴える。

 過去、アフリカを視察するたびに、無償の援助で建てられた施設が使われず、放置されている現状を見てきた和昌さん。「貧しいからかわいそう…と寄付することが果たしていいのか?中には“自分たちは貧しいから、もらって当然”と考える者もいるが、そこに未来はない。融資なら彼らのモチベーションにつながる」。和昌さんはそう考え、あえて“融資”という形にこだわる。彼が融資している中で、もっとも成果を上げている養鶏農家は、7人いる子供たち全員を学校に通わせることが出来るようになった。こうした姿を見るのが、和昌さんにとって大きな励みだという。

 今のところ回収率は100%。だが、まだ利益を上げるまでには至らず、自己資金を持ち出しているのが現状だ。時には批判も受け、自分のやっていることが本当に人々の役にたっているのか悩むこともあるという。だが「一度やり始めたからには、プロ意識を持ってやり通したい」と和昌さん。そんな時思うのは、開業医として働き通しだった父のこと。「常に患者のことを考えている人だった。子供の頃はかまってもらえなかったし、父親としては中の上ぐらいだったかもしれない。でも医者としては世界一だと思っている」と、和昌さんは語る。

 そんな父から和昌さんに届けられたのは、幼い頃に甲子園球場で父と買ったメガホン。あまり同じ時間を過ごすことがなかった父と子の思い出の品だ。そこには「またいつか一緒に甲子園に行こな!」とメッセージが書かれていた。そして添えられていた手紙には、海外で働く息子を頼もしく思っていることや、小さい頃かまってやれなかったことをすまなく思っている父の気持ちが綴られていた。和昌さんは「ウガンダに来る直前、父が“一から親をやり直せるなら、もっといい父親になれると思う”とポツリと言ったんです。でもそういう風に思わないで欲しい。今の自分があるのは父のおかげだから…」と、今まで言えなかった想いを語る。