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#133「ドイツ/デトモルト」 1月9日(日) 午前10:25〜10:55


 今回のお届け先はドイツ・デトモルト。この町の国立音楽大学で学ぶ打楽器奏者の太田有香さん(24)と、兵庫県姫路に住む父・稔さん(53)、母・明子さん(51)をつなぐ。

 有香さんが取り組んでいるのは、一般にはあまり馴染みのないマルチパーカッションによる現代音楽。さまざまな打楽器をソロで演奏するのだが、「日本では見てもらえる機会が少ないので、何をやっているのか分らないとよく言われる。この音楽を一般の人に親しんでもらえるように私ができれば…」と有香さんは目標を語る。

 中学の吹奏楽部で打楽器と出会い、その音色に魅了され、日本の音楽大学へ進学した有香さん。卒業後はさらに打楽器を極めるため、この音楽大学に留学した。現在2年目に入り、「人生で今が一番楽しい」と有香さんは話す。

 有香さんは3日後に打楽器の国際コンクール出場を控え、その練習に明け暮れていた。世界中から選ばれた30人の演奏家が、1週間にわたりその腕を競い合う、世界有数の打楽器による現代音楽の祭典だ。音楽を学ぶため、高校時代から8年も親元を離れている有香さんも、こんな大きなコンクールに出るのは初めてのことだという。「打楽器を極め、プロの演奏家としてやっていきたい」と夢を抱く有香さん。このコンクールに優勝すればプロへの足がかりになるとあって、有香さんのリハーサルにも熱がこもる。

 コンクール前日、リハーサルを繰り返す有香さんに、父からスネアドラムが届けられる。有香さんが中学の時、父から初めて買ってもらったもので、打楽器奏者を目指す原点になった楽器だ。届けものを手にした有香さんは、「明日は今までやってきたことをやるだけ。見守ってくれている家族や親戚、友人、先生に感謝を込めて演奏したい」と、身を引き締める。

 いよいよコンクール当日。一次審査はビブラフォーンと太鼓。課題曲の中から1曲を選び、演奏する。次の審査に進めるのはたったの6人…。だが残念ながら、有香さんは次の審査に進むことができなかった。留学期間はあと1年。「次へのステップのために、私はこの1年を使わないといけないと思っている。希望としては、もう少しドイツ、ヨーロッパ各地で演奏家としてやっていきたい」と、有香さんの夢はまだまだ尽きない。