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#114「アメリカ/ロサンゼルス」 8月1日(日) 午前10:25〜10:55


 アメリカを拠点に、オートバイのモトクロス競技に情熱を傾けるプロのモトクロスライダー・金城さやかさん(18)と、かつて大阪で彼女を指導していた恩師のスポーツトレーナー・川平隆司さん(46)をつなぐ。プロを目指すさやかさんのために、家族全員でアメリカに移住した金城一家。川平さんは「移住すると聞いたときは"すごい!頑張れ!"と応援した。当時はまだ中学生だったが、今、どのぐらい活躍しているのか見てみたい」と、さやかさんの成長に想いを馳せる。

 さやかさんは普段、父・剛さん(40)が勤めるロサンゼルスの自動車修理工場の片隅をガレージとして借り、父とともにバイクのメンテナンスをしながらレースに備えている。モトクロス好きの父の影響で3歳からバイクに乗り始めたさやかさんはメキメキと頭角を現わし、中学の時には全日本モトクロスのトップランカーに。やがて、女性でもプロとして活躍できる環境を求め、本場アメリカでのチャレンジを夢見るようになった。そして3年前、父と母・美千代さん(42)、弟の翔太君(14)の家族全員でさやかさんをサポートするため、一家でアメリカへ移住した。

 そんなさやかさんが、人生の師と仰ぐ川平先生と出会ったのは13歳の頃。アスリートとしての肉体作りからメンタル面に至るまでを指導してくれた川平先生の言葉すべてが、当時まだ幼かった彼女の胸に大きく響いた。「先生の存在は大きい。今でもトレーニングをしていると先生の声が聞こえる」。さやかさんは今も先生の言葉を部屋の壁に貼って、人生の道しるべにしているのだ。

 今回さやかさんが参戦するのは、世界屈指のレベルを誇る全米モトクロス選手権。プロとはいえ、まだ大きなスポンサーが付いていないさやかさんには十分な資金もなく、お父さんが改造したトラックに家族全員で乗り込み、寝泊まりをしながらアメリカ中を旅してレースに挑んでいる。「父は車の運転もして、レースの手伝いもして…一番ハードだと思う。早くスポンサーを獲得して、父を楽にさせてあげたい」とさやかさんは願う。トップクラスのチームは資金や人材も潤沢で、最新型マシンを何台も備えて参戦するが、さやかさんは3年落ちのマシンが1台だけ。レース資金もすべて家族の持ち出しだ。そんな暮らしも3年。母は「娘も夫もすぐに帰るつもりはないが、私は経理をしているので金銭的に無理なことはわかっている。あと1年…2年かな」と打ち明ける。

 なんとか結果を残してスポンサーを獲得したい…。そんな覚悟で挑んだあるレースで、さやかさんが練習走行中に激しく転倒。マシンが破損してしまう。家族はなんとかしてさやかさんをレースに出したいと、総出でマシンの修理に取りかかるが…。思わぬ苦境に立たされたさやかさんに、川平先生からの手紙が手渡される。そこには「"しんどい""やばい"と感じてから、どれだけ頑張るかが"強さ"」と書かれていた。さやかさんは「先生がいつもおっしゃっていた言葉です。今まさに必要な言葉。自分のレースができそうです」と自分を奮い立たせる。

 家族の助けでマシンはなんとか決勝に間に合い、さやかさんは先生の手紙に添えられていた「初心」と書かれたカードをマシンに貼ってスタートを切る。雨の中、果敢に攻めのレースを見せていたが、ぬかるみに足を取られてまたも転倒。さやかさんは後続車に次々と追い抜かれながらも、諦めずに懸命にエンジンをかけ続け、ようやく再スタート。最下位になりながらも、先生の言葉を胸に、たった一人でゴールにたどり着く…。