次回予告 バックナンバー 地球便マップ ディレクターの取材こぼれ話 募集
今回の放送今回の放送

#078「カナダ/クアドラ島」 11月1日(日) 午前10:25〜10:55


今回のお届け先はカナダのクアドラ島。この島唯一の日本人フィッシングガイドとして奮闘する梅村英二さん(49)と、愛知県岡崎市に住む母・時子さん(74)をつなぐ。18才で家を出て北海道の大学へ進んだ英二さんは、そのままカナダへ渡ってもう24年。一人暮らしの母は「一緒に暮らした時間がほとんどなかった」と寂しさを口にし、「どんな釣りのガイドをしているのか見てみたい」と会えない息子に思いを馳せる。  

クアドラ島でプロのフィッシングガイドとして生計を立てる英二さんは、島でもトップクラスのガイドと呼ばれている。どんなお客さんにも必ず魚を釣らせるというスペシャリストだ。そんな英二さんの仕事に同行する。この日のお客さんはカナダ人の男女で、費用は1日船をチャーターして約10万円。クアドラ島での釣りは娯楽と同時に、金持ちのステータスでもあるのだ。船は氷河が削り出したフィヨルドと呼ばれる地形の入り組んだ湾を進む。野生のトドが群をなす、船でしか近づけない手つかずの自然が残るエリアだ。狙うのは1mにもなる巨大な白鮭。だがポイントに着いてもお客さんは座ったまま。「お客さんのほとんどが初心者。すべて私がセッティングをして、魚が掛かるところまでを作り上げる」と英二さん。お客さんは釣れる瞬間だけ竿を握る、まさに大名釣りなのだ。この日も英二さんは見事な白鮭を釣らせ、お客さんは大満足。釣った魚をさばいて渡すところまで、すべて英二さんが一人で世話をする  

幼い頃から父と家の近くの川で釣りに親しみ、少年時代は毎日釣りに明け暮れたという英二さん。大学でも釣り三昧で、卒業後、どうしても釣りを仕事にしたいと単身カナダに渡った。ガイド見習いの頃に一度だけ両親が島を訪ねて来たことがあり、2人を釣りに連れて行った。このとき母は3尾釣ったが父は1尾も釣れなかった。「お袋はそれが自慢だったらしいけど、親父はずいぶん機嫌が悪かったみたいです(笑)」。その父も6年前に他界。このとき父に釣らせることが出来なかったのが心残りで、以来“どんなお客さんにも必ず魚を釣って帰ってもらいたい”…そんな想いを胸に仕事に臨んでいるという。

妻と3人の子供と共に、この島で忙しくも充実した毎日を過す英二さんにとって、一番気がかりなのは74歳になる母のこと。18才で家を出てから、親子で共に過す時間はほとんどなかったという。そんな英二さんへ、母からのお届けものは、英二さんが若かりし頃、亡き父と一緒に手作りした鮎のタモ網。そこには、家族で過した日々をいつまでも忘れずにいてほしいという母の想いが込められていた。タモ網を見た英二さんは「あぁ…涙が出てきた。堪えきれない」と言葉を詰まらせる。「この中に自分が若かった頃の思い出がぎっしり凝縮されている…本当に嬉しい。(母に)会いたい」。そうつぶやく英二さんの姿に、母も「私も1度でいいから会いたい…」と大粒の涙をこぼす。