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#065「コロンビア共和国/カルタへナ」 7月19日(日) 午前10:25〜10:55


■内容

今回の配達先は南米コロンビアのカルタヘナ。この町で子供たちに野球を教える阪長友仁さん(28)と、大阪・交野市に住む父・敏さん(63)、母・喜美子さん(59)をつなぐ。小学1年で野球を始めた友仁さんは、15歳で実家を離れて新潟の名門・明訓高校に進学。3年の夏には甲子園に出場し、立教大学時代はキャプテンも務めた。卒業後、一度は就職したものの、野球への想いは断ちがたく、安定した生活を捨て、青年海外協力隊員として子供たちに野球を教える道を選んだ。だが母は息子の将来を心配し「日本に帰って定職についてほしい」と切望する。

カルタヘナはコロンビアでももっとも野球の盛んな地域。市内には少年野球チームがおよそ20チームあり、友仁さんはそれらのチームを回って野球を教えている。日本とは違いコロンビアの野球は荒々しい。「基礎も何もなく、とにかく力まかせに打てばいいという考え方。でも才能のある子は多い」と友仁さん。そんな考え方の違いに戸惑い、苛立ちながらも、この1年3ヵ月、懸命に指導を続けてきた。

プロになる夢は叶わなかったが、野球と共に生きる人生を選んだ友仁さん。両親は、10年前に甲子園でホームランを打ったあの瞬間、息子は野球に取り憑かれてしまったのではないか…と考えている。だが友仁さんは「ホームランのせいじゃない。ただみんなで野球をしているのが楽しかった。むしろそれに取り憑かれたのかもしれない」と振り返る。

コロンビアは貧富の差が激しく、野球選手になることは子供たちの単なる甘い夢ではなく、貧しい生活から抜け出す現実的な手段なのだ。メジャーリーグで活躍するオーランド・カブレラ選手もこのカルタヘナのスラム出身。成功を収めた彼は子供たちの憧れの的なのだ。

そんなシビアな環境のコロンビアで友仁さんが教えるのは、野球の技術よりもまずはマナーや規律。だが子供たちにグラウンドのゴミ拾いをさせようとしても、なかなか受け入れてもらえず苦労したという。「メジャーリーガーを目指しても大半の子がなれない。でも野球を辞めた時に何も残らなければ意味がない。野球を通して礼儀や道具を大切にする気持ち、規律や協調性を学んで将来に生かしてほしい。日本の野球にはそういう要素がたくさんある」と友仁さんは語る。

そして友仁さんがコロンビア第3の都市・カリへ移動することに。最後の練習の後、友仁さんはグラウンドの掃除をひとり黙々と始めた。すると一人また一人と子供たちが手伝いにやってくる。「短い時間で結果は見えるものじゃない。でもいつか気づいてくれればいい」と言っていた友仁さんだが、彼の努力は確実に実を結んでいたのだ。 そんな友仁さんへ両親から届けられたのは"あられ"。阪長家では毎年冬についたあられで父と母が一緒にあられを手作りするのが恒例なのだ。幼い頃から親しんだ我が家の味に「懐かしいです」と顔をほころばせる友仁さん。そして息子の将来を心配する両親に向け、友仁さんがメッセージをおくる。