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#064「チェコ共和国」 7月12日(日) 午前10:25〜10:55


■内容

 今回の配達先はヨーロッパのチェコ共和国。ここでミュージカルやオペラを彩る"ステージダンサー"として奮闘する早稲田修治さんと、大阪に住む父・富男さん(68)、母・恵子さん(58)をつなぐ。日本を離れて10年。ダンス一筋に打ち込む修治さんを「生活していけるのか」と案じる両親だが、「息子は自分で決めたらそれに向かっていく。反対しても無理です」と、ただ見守ることしかできない。

 ドイツとの国境に近い町・ウスティ・ナド・ラベムにある劇団「ノース・ボヘミアン・シアター・オブ・オペラ・アンド・バレエ」。修治さんはその専属劇団員として活動している。30人以上いるダンサーの中でたった一人の日本人だ。チェコ国内でもトップレベルのこの劇団は、オペラやバレエ、ミュージカルなど様々なジャンルの演目を公演するため、日々違うダンスを練習しなければならず、そのスケジュールは過酷だという。

 修治さんが本格的にダンスを始めたのは20歳の頃。ニューヨークの大学に留学中、地元のダンスチームに入ったのがきっかけだった。次第にダンスに魅せられた修治さんは、更なる技術の習得のためヨーロッパへ。人よりスタートが遅かった分を取り戻そうと、人一倍努力を重ねてきた。そしてこの劇団にやってきて3年目。30歳になった今も、自分のダンスの幅を広げようと日々努力を続けている。

 修治さんは3年前に結婚し、現在は妻のひばりさんと二人暮らし。結婚を決めたとき、両親から「奥さんを養わなければならないのに、自分の夢ばかり追ってられへんよ」と言われ、一度はダンスの夢を諦めかけた。だがそんな修治さんの背中を押してくれたのがひばりさんの一言だったという。「"自分がコレと思ってやってきたことだから、ダンスを続けてほしい"と言ってくれて。だから中途半端にやめたくないし、やってきたことを形に残したい」と修治さんは語る。

 誰よりも早く楽屋にやってきて、遅刻は一度もしたことがないという修治さん。劇団の仲間たちからも「真面目で一生懸命に練習する」と評価は高い。それは、真面目に仕事一筋で打ち込んできた父の背を見て育ったからだという。そのため幼い頃は遊んでもらった記憶もほとんどないが、父は仕事に実直に向き合うことを教えてくれた。

 そんな父からのお届け物は古びた野球ボール。修治さんは「覚えています。父と甲子園球場に試合を見に行った時に飛んできたものです」と懐かしそうに手に取る。2人で出かけたのはこの時が最初で最後だった。添えられていた父からの手紙には、「このボールはあまりかまってやれなかった修治との一番の思い出です」と記され、自分は「夢」や「やりたいこと」を考える余裕もなく仕事一筋に生きてきた、だからこそ修治さんには夢を追うなら、納得できるところまで頑張ってほしい…と綴られていた。父から初めてもらった手紙に、修治さんは感謝の気持ちを語る…。