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野村明大(ytvアナウンサー)『野村明大の徒然なる道』

徒然なる「10年」。

あの日から、

10年です。

10年前のことなので、

記憶が、ところどころ、あいまいなのですが。。。

確か、

あの日も、

きょうと同じ「日曜日」だったと、

記憶しています。

少なくとも、

日本時間では、

日曜日だったと。。。。


なぜそんなことを

覚えているかといえば、、、、


私は、

当時、

「トラトラタイガース」という阪神の応援番組を

担当しており、

その放送は、

毎週日曜日の

深夜だったので、

その日も、

会社の

アナウンス部の部屋で、


きたるべき「放送」に備え、


もろもろの準備をしていたことを

記憶、、、しているからです。。。。

日曜の夜、、、でしたので、、、、、


アナウンス部には、

私以外に、


夜勤の萩原アナだけがいたと、

記憶しています。。。


アナウンス部内には、

テレビが10台近くあって、

全ての地上波チャンネルが、

同時に見られるように

なっています。

これは、

テレビ局内のどの部署でも、

仕事柄、大体、

部屋が、そういう仕様になっていると思いますが、、、、、

その日、

その瞬間も、

日曜夜の、

静寂に包まれた

アナウンス部室では、

音を消したテレビが

10台近く、


その時々の

それぞれの局・チャンネルの

オンエア映像を

映し出していました。。。


私は、

それらのテレビに相対面する形で

自分の席が、ありました。。。


萩原アナは、

それらのテレビに

背を向ける形で

座席があったと、


記憶しています。。。


私は、自分の作業をしながら、

ときどき、

顔を上げると、

自然と、テレビの映像が、目に飛び込んでくる状況、、、


だったのですが、、、、


そんな私の目に、


飛行機が、

ビルに突っ込んでいく映像や、

煙がもうもうと上がる映像が、


ある瞬間、

飛び込んできたのを、


はっきりと、

記憶しています。。。


ただ、

その瞬間の反応は、


びっくりして、

あわてふためいて、、、、、

というリアクションでは、

ありませんでした。。。。


私は、

自分の仕事・作業に没頭しながら、

なんとなく、

頭の片隅で、

「新しい映画の宣伝映像かなにかを、
 
 テレビでやっているんだな・・・」


と、

なんとなく、漠然と、

「整理」していた・・・・・ そんな、うっすらとした記憶が、残っています。。。。

その後も、

作業を続けていたのですが、

再び、頭をあげたとき、(最初の瞬間から、数十秒後だったか、数分後だったか、、、、)


相変わらず、

飛行機が、ビルに突っ込む映像を、

テレビが再生していることに、

気づきました。。。

最初の瞬間に、

無意識に、


「映画かなにかの…」

と整理した、そのことに対する「疑念」「違和感」が生じたのを、

なんとなく、記憶しています。。。。

そのとき、


私は、別の仕事・・・まもなくオンエアを迎える別の番組のことで頭が一杯で、

そちらに集中していたので、

最初の映像を見た瞬間の「情報の整理」は、

「はっきりと意識して自分自身が行った」というよりも、


「脳の『メイン』の部分は、

今からの自分の仕事のことを考えることに一杯一杯」で、


脳の『サブ』の部分で、

なんとなく、勝手に、


上記したような「判断」をしていた、、、、

それが、正確な表現、、、かも、、、、しれません。。。


2度目に、あの映像を見たとき、

脳の「サブ」で整理していた「情報」が、

「違う」と、

ようやく、「メイン」が、感じました。。。  (それでも「なんとなく」でしたが…)

なので、

脳の「メイン」の部分で、


「何が、今、自分の目の前で、映し出されているのか??」を、


分析・理解しようとする動きに、ようやく入った… 記憶が、あります。。

映画の宣伝映像だと当初思った

現実離れした映像が、


数十秒?数分?前と同様に、

テレビ画面に、

映し出されている。。。


「映画の宣伝映像だと思ったが、

 映画の本編そのものを、放送しているのだろうか??」

そんな風に、漠然と思った記憶が、あります。。


情報を整理しきれないまま、

居並ぶテレビの画面を見続けていた私、、、ですが、、、、

そのうち、あることに、気づきました。。。


「そのうち」というのが、


「数十秒」だったか、

「数分」だったか、


記憶が定かでは、ないのですが、、、

恐らく、


「数十秒」だったのだろうと、

思います。。。


ただ、

今残っている記憶では、

「数分」の感覚で、

記憶されているのです。。。

脳は、

自分の予測し得ないことに遭遇したとき、


その事柄を、丁寧に「理解」「解釈」しようとするため、

「スローモーション」状態で、

映像を、頭にやきつけると、聞きます。。。


恐らく、

そんな状態だったのだろうと、

思います。。

たぶん、

目の前に起こっている「映像」を、

必死で整理しようとした、私の脳。


脳が、

必死であがけばあがくほど、


「スローモーション」のような記憶だけが、

残ったのだと、思います。。。


次に私が気づいたのは、


居並ぶテレビの画面のうち、

その、映画かと当初思った、現実離れした映像が、


1局だけでなく、

2つの局で、映し出されている、、、ということでした。。。

より正確にいうと、

「この、映画か何かの映像は、何なんだろう??」と

ぼんやりと、頭が考えている矢先に、


いきなり、他局でも、

同じような映像が、

映し出された、、、


ということだったのだと、思います。

私の頭は混乱しました。

「なぜ、映画の映像が、

同時に、違うチャンネルで、映し出されているのだろう??」

と感じた、


その数秒後だったと、

記憶しています。

今度は、はっきりと、

「数秒後」だったと、

覚えています。


また別の違うチャンネルでも、


その「映像」が、


映し出されました。


その段になって、

ようやく、


私は、

「大変な映像」が、今、目の前に、

現実に、映し出されているということに、


気づいたのです。

恐らく、

最初に「映像」を目にしてから、


この「気づき」の瞬間までは、

実際には、

1分あるかないか、、、

くらいのラグだと、思うのですが、、、

私の「記憶」の中の整理では、

5~10分くらいの

「時間」があったと、


脳が整理、、、して、、、、 今も、記憶が、残っているのです。。。。

とにかく、


私は、

「気づいた」その瞬間に、

ようやく、声を、あげました。


「萩原さん!なんか、大変なことが起こっているみたいですよ。」

そこからは、

正直、よく、覚えていません。。。

萩原さんが、

報道フロアや、ご自宅と連絡をとったり、


私も、

自宅に電話したり、

番組スタッフに、「きょうの放送は、当然なくなるのか?」確認の電話をしたり、


もちろん、


その日の「トラトラ」の放映は、

確か、なくなったと、、、記憶しているのですが、、、、


その一連の動きの中で、


確か、当時、新人だった赤星選手から、

「きょうの放送は、なくなったんですか?」という問い合わせのメールがきた記憶も、

あります。


確かその日は、

新人の赤星選手が「大活躍した」ことを伝える特集の日で、


赤星選手も、私も、

その放送を、とても楽しみにしていた、、、


そんな日でも、ありました。

「大変なことが、起こっている」

それが分かってからは、

言い様のない「恐怖」に襲われた記憶が、あります。


当初、

「テロ」という言葉には、

私は、

思い至りませんでした。。

最初は、


「これが、日本のことなのかどうなのか?」

を確認するのにも、

若干の時間を、

要しましたし、、、


「アメリカでのこと」と分かってからも、


「テロ」というよりは、


「アメリカが、戦争状態に、突入した」

という認識が、

当初は、

私の頭の中の「整理」においては、

支配的でした。


少しずつ、

情報が整理されていく中でも、

「このあと、

日本は、世界は、

どうなっていくのだろう??」

という大きな不安がよぎったことを、

今でも、

はっきりと、


覚えています。。。

それから時間を追うごとに、

現地での、

悲惨な現実が伝えられたり、


少しずつ、

情報が、

整理され始めました。

情報が整理されていく中で感じた

なんともいえない「不条理」や「絶望感」、「無力感」については、

多くの人たちと、

思いを、共有するところ、、なんだろうとは、思います。。

先の戦争を知らない

私にとっては、


とことん不条理な世の中というものを教えられた

一つの大きな出来事、でもあります。

あの出来事以来、


以前にもまして、

人間の無力さ、愚かさというものを、

強く意識するようになったことも、

確かです。

世界中の人が、


あの出来事をきっかけに、

それぞれに、

様々なことに、


思いをめぐらせたのでしょうが、


いまだ、


「では、どうあるべきなのか??」


明確な正解をもたらし、提示してくれる人は、

いません。。

人類は、


相も変わらず、


迷いながら、


その一方で、

とてつもない制御不可能なエネルギーや兵器を生み出し続け、


その力を上手に使いこなし、コントロールできるまでに

自らが成熟するには、

程遠い状況です。


一体、


世界は、どこに向かっていこうとしているのか??

幸せな方向に向かおうと、しているのか??

そのあたりはあいまいなまま、


どの国の指導者も、

「こっちに進めば、間違いない!」と

声高に、、、、


「ない」正解を、

あたかも「ある」かのように、叫び続けながら、、、、

きょうも、

世界は、動いていきます。

投稿者: 野村明大 日時: 2011年09月11日(日) |

アナウンサー