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野村明大(ytvアナウンサー)『野村明大の徒然なる道』

徒然なる「スーパー堤防」とダム

「スーパー無駄遣い」とまで言われて

ばっさり仕分けられた

「スーパー堤防」事業。


ある意味、


日本の「治水行政」の「粋」が詰まった

「芸術的」事業計画でしょう。。。


(『イヤミ』ですよ!! 念のため!!)

「10年に一度」の大雨に備え、

河川整備をしました。

すると、


「30年に一度」の大雨がきたらどうするんだ??

という議論に、必ずなります。


そうならないように、

「30年に一度」の河川整備をしました。


「100年に一度」の大雨がきたら、どうするんだ??


という声が、上がりました。

仕方がないので、

「100年に一度」の整備を計画しました。

今度は、「ダム」も造ることに、してみました。


「ダム」ができるのには、

ざっと、30年くらいかかります。


土地の買収などでてこずれば、

50年くらい、かかることも!!

でも、とりあえず、

「100年に一度」の大雨に備えるという名目で、

「ダム」を、造ることにしました。

予算は、

計画の最初の段階では、

とりあえず、何百億円くらいということにしておきましたが、


まあ、30年、50年経てば、

結果的に、

「何千億円」になることも、あるでしょう。


だって、

「経済事情」だって変化するし、

土地の買収だって、


「そんな値段では売れん!」と強固に反対されれば、

高いお金を出してでも、

土地を手に入れないと、

そもそも、事業が進みませんから。。。

でも、


そこまで苦労して、

造ろうとしているダムだけれども、


「200年に1度」の大雨がきたら、

容量がパンクして、

何の効果も果たさない、、、、と指摘されました。

仕方がないので、

「200年に一度」の大雨にも効果を発揮する

「スーパー堤防」を、造ることにしました。

計画から20年以上経ち、

全体の5%くらいしか、いまだに工事は進んでいません。

「200年に一度」の大雨に備えるのに、

このペースでいけば、

400年くらい、工事完了まで、かかりそうです。

というような「思考回路」で

計画が立てられてきた

日本の「治水行政」。

まさに、

スーパー堤防事業は、


「象徴的」だということが、

よく分かっていただけたのではないでしょうか??


「つい先日も、

 奄美で大雨が降った。


 甚大な被害が出た。


 やっぱり、ダムがいるんではないか?」

ときどき、

こういった意見を述べられる評論家などが、いらっしゃいますが、


とんでもない勉強不足です。

先日の奄美レベルの大雨が降った場合、


「ダム」でも「ダム以外」の方法でも、

到底、防ぎきれない。。

ということを、

我々一般国民も、

もっと、認識する必要が、あります。


行政は、もちろん、このことを、理解しているのですが、


説明は、しませんね。。。恐ろしいほどに。。。


なぜなら、

「ダム」などを造る際に、


「このダムさえ造れば、もう安心!」というような印象を与える説明を、

地元住民らに対し、繰り返し、行ってきているからです。。


よもや、


ちょっと通常のレベルを越える大雨が襲ってきたときには、

ダムが簡単にパンクする、、、などとは、

とても、怖くて、

いえないのでしょう。


しかし、

その「姿勢」が、


住民の危機意識を、

より薄くしてきたことも、

また、、、、悲しい、、、事実です。。

我々がやるべきことは、


「○年に一度」の大雨に備え、

際限なく、コンクリートの建造物を建て続けることでは、ないでしょう。


「どういう雨が降ったときに、
 
 どういう危険が、この、自分が住んでいる場所で起こるのか?」


それを日ごろから、

意識すること。


そして行政も、

その知識の「周知」に努めること。

これが、

一番大切で、

一番安価で、

一番効果的で、

一番早く、

できること、、、ではないでしょうか。。。

PS~大阪の槇尾川ダム事業を、中止すべきか、継続すべきか、

    アタマを悩ませる橋下知事。

    この問題を審議する「委員会」が、

    いよいよ、火曜日に、開かれます。

    大きな一定の方向性が示される可能性もあり、

    目が離せない一日に、なります。

投稿者: 野村明大 日時: 2010年10月31日(日) | コメント (1)

コメント

治水に限って言えば
民間のダムが多いところとか
例えば、神戸のように急流河川があるところの方が
行政は住民により詳しく説明しているような気がします。

ただ、そこにも治山事業という逃げ道があるのですが・・・。

何にせよ
1つの方向が定まりつつあるのは良いことだと思います。

投稿者: (・e・) 日時:2010年10月31日(日) at 14:03

アナウンサー