8213「神武以来(このかた)」

2021 . 10 . 18

8213

 

 

「神武以来」

と書いて、

「じんむこのかた」

と読むと知ったのは、数年前に藤井聡太・現三冠がプロデビューして、加藤一二三九段と対戦した時です。その際に、中学生プロ棋士の先輩である、加藤一二三九段が、

「1958年(昭和33年)」

に18歳3か月で「A級八段」となる偉業を成し遂げた際に、

「神武以来(このかた)の天才」

と呼ばれていたと知りました。「神武」は初代の天皇とされる「神武天皇」であることは分かります。つまり、

「歴史が始まって以来」「空前絶後」

ということでしょう。

これ以外で聞いたことがなかったのですが、先日、中川右介さんの、

『市川雷蔵と勝新太郎』

を読んでいたら、

「1957年(昭和32年)」

2月27日に、花菱アチャコ・浪花千栄子の活劇喜劇時代劇で勝新太郎も出ている『凸凹巌窟王』(斎藤寅次郎監督)の「鬼月島の巻」と「海賊船の巻」が封切られたという記述があり、この映画の惹句が、

「神武以来の面白さ!にぎやかさ!型破りの復讐時代活劇!」

と紹介されていました。おお!ここにも「神武以来」が出ている!だとすると、この当時、「『神武以来』は『流行語』だったのではないか?」

ということで「ハッ!」と思い出したのは、

「神武景気」

です。そして、

「1956年(昭和31年)」

は、例の、

「もはや戦後ではない」

で有名な「経済白書」が出た年でもあります。

ウィキペディアによると「神武景気」は、

「1954年(昭和29年)12月~1957年(昭和32年)6月まで続いた」

とのことで、「1955年(昭和30年)」までは、「数量景気」と呼ばれていたそうですから、やはり「もはや戦後ではない」の、

「1956年(昭和31年)」

に、

「神武天皇即位以来、類を見ない好景気」

ということで名付けられたと。そして、

「神武以来(このかた)の〇〇」

は、やはり流行語となって、加藤一二三さん以外では、「美輪明宏さん」が、

「神武以来の美少年」

と呼ばれたそうです。

この「神武景気」の背景は「朝鮮戦争」。そして、

「1953年(昭和28年)」

に登場した「テレビジョン」など、耐久消費財ブームでの、

「三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)」

も、この時。

そうか「神武天皇」だから「三種の神器」なのか!

つながった!

 

(2021、10、15)