「神武以来」
と書いて、
「じんむこのかた」
と読むと知ったのは、数年前に藤井聡太・現三冠がプロデビューして、加藤一二三九段と対戦した時です。その際に、中学生プロ棋士の先輩である、加藤一二三九段が、
「1958年(昭和33年)」
に18歳3か月で「A級八段」となる偉業を成し遂げた際に、
「神武以来(このかた)の天才」
と呼ばれていたと知りました。「神武」は初代の天皇とされる「神武天皇」であることは分かります。つまり、
「歴史が始まって以来」「空前絶後」
ということでしょう。
これ以外で聞いたことがなかったのですが、先日、中川右介さんの、
『市川雷蔵と勝新太郎』
を読んでいたら、
「1957年(昭和32年)」
2月27日に、花菱アチャコ・浪花千栄子の活劇喜劇時代劇で勝新太郎も出ている『凸凹巌窟王』(斎藤寅次郎監督)の「鬼月島の巻」と「海賊船の巻」が封切られたという記述があり、この映画の惹句が、
「神武以来の面白さ!にぎやかさ!型破りの復讐時代活劇!」
と紹介されていました。おお!ここにも「神武以来」が出ている!だとすると、この当時、「『神武以来』は『流行語』だったのではないか?」
ということで「ハッ!」と思い出したのは、
「神武景気」
です。そして、
「1956年(昭和31年)」
は、例の、
「もはや戦後ではない」
で有名な「経済白書」が出た年でもあります。
ウィキペディアによると「神武景気」は、
「1954年(昭和29年)12月~1957年(昭和32年)6月まで続いた」
とのことで、「1955年(昭和30年)」までは、「数量景気」と呼ばれていたそうですから、やはり「もはや戦後ではない」の、
「1956年(昭和31年)」
に、
「神武天皇即位以来、類を見ない好景気」
ということで名付けられたと。そして、
「神武以来(このかた)の〇〇」
は、やはり流行語となって、加藤一二三さん以外では、「美輪明宏さん」が、
「神武以来の美少年」
と呼ばれたそうです。
この「神武景気」の背景は「朝鮮戦争」。そして、
「1953年(昭和28年)」
に登場した「テレビジョン」など、耐久消費財ブームでの、
「三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)」
も、この時。
そうか「神武天皇」だから「三種の神器」なのか!
つながった!