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2026.1.30

英雄から“危険な女性”へ―クリムトが描いた新しいユディト

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《ユディトⅠ》に見るクリムトのまなざしとは

みなさんは、ユディトを描いた絵をご存知でしょうか。
ユディトは旧約聖書外典『ユディト記』に登場するユダヤ人の女性です。敵将ホロフェルネスを討ち取り、自分の民を救った人物として知られています。
これまで様々な画家が「彼女」を描いてきました。ユディトは信仰深く、正義感の強い「立派な英雄」として描かれることが多くありましたが、グスタフ・クリムトが描いた《ユディトⅠ》は、そのイメージとは大きく異なります。
《ユディト I》は、聖書に登場するユディトを再解釈し、伝統的な肖像に挑戦した作品である言えます。ユディトの上半身は剝き出しになっていて、ホロフェルネスの首は無残で、官能性と暴力が不穏な形で結びつき、伝統的なモラルに挑戦するような手法で女性の力を視覚化しています。クリムトはユディトを、勇敢な聖書の人物としてだけでなく、見る者を引きつける「官能的で危うさを持つ女性」として描きました。
この絵では、残酷な出来事よりも、ユディトという女性の存在感や力強さが強く印象に残ります。美しさと恐ろしさが同時に表されており、見る人に複雑な感情を抱かせます。背景に使われた金色の装飾は、教会の宗教画を思わせますが、この作品が伝える意味は一つに決められるものではありません。
《ユディトⅠ》は、善と悪、美と恐ろしさといった相反するものが同時に存在する人間の姿を描いた作品です。このような表現は、20世紀初頭のウィーンで生まれた、新しい考え方や価値観をよく表しています。
このように、クリムトの作品からは、モデルの表面的な美しさだけでなく、その人が持つ本来の姿や、作品の奥にある深い意味を感じ取ることができます。現在開催中の「クリムト・アライブ」では、こうしたクリムトの意図や世界観を、より身近に体感できるはずです。ぜひ会場で、クリムトが描こうとしたものに触れてみてください。

INFORMATION
クリムト・アライブ 大阪展
■開催中~3月1日(日)
 10:00~17:00 ※最終入場は閉館の45分前まで
■会場:堂島リバーフォーラム(大阪市福島区福島1-1-17)
https://klimtalive.jp/osaka/
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