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2025.12.19

「まず喜劇だと思って観てください。でも最後は“希望劇”になっています」

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映画『新解釈・幕末伝』
ムロツヨシさん特別インタビュー

本日12月19日から公開の映画『新解釈・幕末伝』。福田雄一監督が史実に基づき、新たな解釈で実写映画化した幕末コメディ超大作です。“日本の夜明け”と呼ばれる幕末の立役者のひとり、坂本龍馬を演じているのが、ムロツヨシさん。今回は、ムロさんに映画に込めた想いを聞きました。

ムロさんは、コメディ界屈指のヒットメーカーと呼ばれる福田監督の作品に数多く出演している常連俳優のひとり。今回は、ムロさんから福田監督に「僕で1本(作品を)つくってくれませんか」と持ちかけたことから始まったといいます。

ムロ「僕は自分でやりたいこと、やるべきこと、やってほしいことを考えてメモに書き出すタイプで、コロナ禍に自宅で過ごしていた時期、“福田組を背負いたい”、と考えていました。というのも、僕は福田監督の作品にほとんど参加させてもらっていますが、ほかの役者さんが座長を果たしてくれ、僕はそのまわりでウロチョロとする、ほどよい距離感で遊んでいたところがあったんです。そのおかげで、世の中に僕のことを知っていただくきっかけにもなりました。でも今回は自分のやりたいことのひとつとして、主役で福田組を背負いたい、と強く思いました。福田監督は『それなら、佐藤二朗さん(西郷隆盛役)とふたりで背負っている姿を見たい』と言ってくださいました」

福田監督が生み出した『新解釈・幕末伝』に登場する坂本龍馬は、これまで描かれてきた坂本龍馬像とは違う、「まぁまぁまぁ!」と相手を取りなすちょっとおちゃらけたキャラクター。ムロさんは、どのようなイメージで演じたのでしょうか?

ムロ「実は12年前の『muro式』(※ムロさん主宰の舞台)でも、福田監督に脚本を書いていただいて今回の坂本龍馬を演じているんですが、そのときは薩長同盟のショートストーリーで、『こんな坂本龍馬はいないだろう』で終わってしまったかもしれません。でも『新解釈・幕末伝』では、ペリー来航から大政奉還まで描いたことで、最後まで観終わったあとに『もしかして、坂本龍馬はわざとおちゃらけていたのかも?』『だからこそ、薩長同盟を結ぶことができたのかも?』と思えてしまうんですよね。
坂本龍馬は、自分の好きなことを言ったりやったりしているだけなのに、なぜか薩長同盟ができてしまう。その繰り返しで、最後には血を流さず、争いなく時代が動いてほしい、という本当の望みも叶える。演じている時は感じませんでしたが、完成した映画を観終わった時、坂本龍馬は自分がそう振る舞うことでしか激動の時代に貢献できないんじゃないか、望みが叶わないんじゃないかと考えていた、というふうにも見えたんです。そこに、福田さんの描く坂本龍馬の深みと凄さが出ていて、『なんて希望の持てる喜劇なんだ』と感じました。
皆さんも、まずは喜劇だと思って観てください。でも最後は“希望劇”になっています。各地で起きている争いや、変わってほしいルールがある今の時代、こういう人が必要なんじゃないか、また現れるんじゃないかと希望が持てる作品です」

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“超幕末喜劇”と銘打たれているように、笑いがあちこちに散りばめられたこの作品。ムロさんのお気に入りのシーンも教えていただきました。

ムロ「やっぱり薩長同盟のシーンは笑っていただき、『そんなわけねーじゃん!』と心のなかでツッコんでいただきたいです。そして、もしかしたら客席から小声で聞こえてくるかもしれません、『え、このシーン長くない?』って。それくらい長いシーンです(笑)。そして、やはり観ていただきたいのは最後のシーン。『新解釈・幕末伝』の世界での坂本龍馬、西郷隆盛(佐藤二朗さん)が、縁側で庭園を眺めながら語り合うラストシーンは、『なぜ僕たちが喜劇を求めたのか』という想いも込められています。皆さんに笑っていただきたいがために一生懸命やった数々のシーン。なぜこの人たちはこんなに一生懸命になれるんだろう? 最後まで見ていただくと、その理由を感じていただけると思います」

最後に、ムロさんの関西での思い出も教えていただきました。

ムロ「25歳くらいの時、東京の小さな劇団にいて、大阪公演に連れていってもらいました。大阪出身の役者さんが多い劇団だったので、たこ焼きとか居酒屋とか、おいしくて安い店にたくさん連れていってもらいましたね。とくに初めてインデアンカレーを食べた時の驚き!『うんめ~!!なんだこれ!?甘いのに辛い、すっげー!』ってびっくりしました。
その後、NHKの連続テレビ小説に出演した時に短期間だけ大阪でホテル住まいをしたことがあり、ある日カレー屋さんに行ったら店の奥から出てきた女将さんに『自分知らんけど、アレやんな?』って言われたんですよ。『自分知らんけど?』『アレやんな?』…って!?人生で出会ったことがない言葉でしたから、衝撃でした(笑)!」

ムロツヨシ プロフィール
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。大学在学中に役者を志し、99年に作・演出・出演を行った独り舞台で活動を開始。映画『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)をきっかけに映像にも活動を広げる。現在、映画、ドラマ、舞台とジャンルを問わず活躍中。
『新解釈・幕末伝』
いよいよ本日12月19日(金)
TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば ほかにて上映中!

https://new-bakumatsu.jp/
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