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特 集

2019/02/02

特集01

恵方巻きを機に考える食品ロス問題

(大丸東京店 山本アナウンサー)

「東京の百貨店に来ておりますが、見てください。
 恵方巻き商戦がはじまっています。
 王道の恵方巻きから金箔の恵方巻きまで
 種類が本当に豊富ですね」

今年も様々な恵方巻きが登場する中、
都内の百貨店では先週すでに恵方巻き商戦が始まっていた。

(山本アナ)
「今年は東北東。いただきます」

「福」を招くとされる「恵方巻き」だが。
その願いとは裏腹に
ある「不幸」を招いていた。

それが…

売れ残った商品の大量廃棄。食品ロス問題だ。

先月11日。農林水産省は
コンビニやスーパーなどの業界団体に
需要に見合った販売で食品廃棄を減らすよう
異例の通知を行った。
売り手側も意識を高めているのだが…。
 
(大丸東京店_惣菜・弁当担当_朝倉宏二さん)
「楽しみにお客様が買い物に来られた時に、
 品物を切らせてしまうと
 がっかりさせてしまうこともありますので、
 毎年悩んで販売している。」

この百貨店ではネット予約や
売れ行きを見ながらの調理で大量の作り置きを避けていた。

食品ロスは恵方巻きだけに留まらない。

日本の食品廃棄は年間2842万トン。
そのうち、まだ食べられるのに捨てられる食品は
年間646万トンにもなる。

この莫大な量のムダを
再利用しようという現場に向かった。

(日本フードエコロジーセンター 伊藤政基本部長)
山本:まずこれは何ですか?
伊藤:これは製造工場から出てくる関係
   これは見ての通りスパゲッティですね。
山本:見た目ツヤツヤしていて
   まだ食べられるんじゃないかなと思うんですけど。
伊藤:これは賞味期限前ですね。
山本:うわー。これは…。
伊藤:ごはんですね。


鮮度を保つために保冷車で運ばれてくる食品廃棄物。
ここでは180以上の事業所から1日35トンほどを受け入れている。

山本:これは最終的には何になるんですか?
伊藤:豚さんのエサです。
   工場にくるのは全部エサになります。

食品を細かくし、異物を取り除いていく。
その後、牛乳などの乳製品と混ぜ合わせて、
熱処理した上で発酵させ液体状の飼料とするのだ。

伊藤:なめても平気ですよ。
山本:あっ!
   まずくはないですけど
   食べると酸味がすごい。

この液体状の発酵飼料は
消化効率がよく、糞尿の臭いが軽減される上、
乳酸菌の働きで豚の免疫力向上につながるのだという。

この餌で育てられた豚は『優とん』というブランドで販売されている。

(日本フードエコロジーセンター 高橋巧一社長)
「どちらかというと
 意識の高い食品会社さんは
 私どもと契約していただいている。
 こういった食品ロスの発生抑制をしたりとか、
 リサイクルをしていったりという土壌を
 もっと広げていって、こういった
 ビジネスが発展していく。
 そういう方向になるんじゃないかなと思う」

食品リサイクル事業は
世界から注目を集めこの日は韓国の大学生が見学に訪れていた。

(韓国・江原大学 動物資源科学科の学生)
「畜産学を専攻しています。
 韓国ではこういう施設がないので
 日本の進んでいる会社を紹介したいです」

世界規模で広がる食品ロス。
国連では1人あたりの食品廃棄を2030年までに半分にする目標を掲げている。

こちらの映像ご覧いただきたい。
調理されているのはなんと、金。
食品にはいかに金がかかっていて
食べ残しでどれだけ無駄にしているかが表現されている。

誰もが「もったいない」と思う食品ロスがなぜ生まれてしまうのか。

(愛知工業大学 小林富雄教授)
「消費者がいつどこでも、
 食べ物を食べられる状況を
 あまりに当然視しすぎている。
 お店側も量的にも種類としても
 たくさんのものをお店に用意しておかないと
 お客さんが離れていってしまう。
 ある種、売れなくてもお店に置いとかないといけない。
 売れなければ捨てるのも止む無しとの風潮は
 広がってきたのではないか。」

経済が成熟し店舗間の競争が
激しくなってきたことも背景にあると指摘する。
 
また、食品業界にある「3分の1ルール」も原因の1つだという。
例えば、賞味期限が6か月の場合。
製造してから2カ月以内に小売店に納品しなければならず、
小売店では次の2カ月以内に消費者に販売しなければならない。

それぞれ期限を過ぎてしまうと
賞味期限前にもかかわらず売り物から外され返品、廃棄されるのだ。

食品ロスを福祉に役立てようという取り組みも広がっている。

(山本アナ)
「すごい量の段ボールですね」

神戸市に拠点を置くフードバンク関西。
企業で出た食品ロスや個人から寄付されたものなどを集め、
ボランティアが児童施設や母子家庭などに無償で配る。

(フードバンク関西・浅葉めぐみ理事長)
「これはね。規格外品なんですよ。
 小さすぎる形が悪い、
 だけど、有機栽培のおいしいトマト」

協力企業は100社を超え、
個人の寄付も増えており、活動への支援は広がっている。

(福祉施設の職員)
「子どもたちは毎日
 大勢でごはんをいただきますので助かってます」

(浅葉代表)
「まったくどこからもお金が入ってこない活動。
 この活動の運営費はみなさんの寄付でやっている」

悩みの種は活動を維持するための費用。
施設や配達にかかる経費などで
年間、1000万円以上かかるという。

一方で食品ロスは家庭が占める割合も大きい。

全体646万トンのうち
家庭から出る食品ロスは289万トンと半分近くを占める。

1人1人に何ができるのか。
まずは自覚することから始めようと
神戸のNPO法人が日記形式で記録できる
「食品ロスダイアリー」を開発した。

手つかずで食べ残した食品など具体的に記録することで
自分が何をどれだけ捨てているのかを見つめなおす取り組みだ。

(NPOごみじゃぱん 石川雅紀代表)
「普段の生活だったら意識に残らずに、
 あっ!もったいないで捨てて忘れることが続くと思うが、
 日記をつけることで深いレベルで意識づけされる。」

これまでの調査では
子どもがいる世帯や単身の高齢者世帯で
食べ残しが目立つこと、記録による学習が削減に役立つことが分かっている。

(石川代表)
「ものを特に買うときに
 食品ロスのことを考えてほしい。
 ずいぶん減ると思います。」

「もったいない」を無くすためにできることから始める。
それが食品ロス問題を解決する最初の一歩となる。

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