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特 集

2019/07/13

特集01

加速するキャッシュレス社会 その展望と課題

買い物客の多くが高齢者。昔ながらの商店街の光景だ。
 
この商店街、普通の商店街とはちょっと違う!

(山本アナリポート)
「みてください。ここのパン屋さん。
 ペイペイのシールが貼っています」
「ここ洋服屋さんなんですが
 入ってすぐ目立つところにペイペイのQRコードがあります」

いたる所にキャッシュレス決済対応のマークが。

ここ、大阪の千林商店街では
ことし2月からキャッシュレス化を進めている。
およそ200店舗のうち80店舗がキャッシュレス決済に対応。

高齢の買い物客はついていけるのか…

(商店街の利用客インタ)
「理屈がわからないゆーのかな。
 訳が分からない世界ゆー感じがするよね」

(商店街の利用客)
「カードやったらわからんうちにいっぱい買うやん
 現金やったら持ってる以上には買えない」

キャッシュレス決済の利用を促進するため商店街では抽選会を開催。
利用者に、通常よりも多く抽選券を配るなど優遇措置を設けた。

高齢者の拒否感を割り引いても
キャッシュレス化を進めるそのワケは。

(千林商店街・IT部長 鶴橋 カドヤ山本剛史さん)
「この商店街っていうのは高齢の方が多い商店街なんですね。
 若い人たちを、顧客層を掘り起こしたいっていう
 我々の課題がずっとありまして
 周りのところにとられないためにも
 何かやっていかないと生き残っていけないので」

若い顧客層を掘り起こそうと導入に踏み切ったのだ。

国もキャッシュレス化を後押しする。

(山本さん)
「この10月に増税されますんで
 まだ店主側も消費者側も
 消費税の還元のことはあまり知られていないと思いますけど
 (消費税率の引き上げが)近くなってきたら
 (還元制度が)一気に広まって
 キャッシュレスが使えるところでやったほうが得だよねってなってくると思うので」

10月、消費税率が予定通り10%に引き上げられた場合。
例えば中小規模の小売店、
サービス業者でクレジットカードなどを使って1万円の商品を購入すると。

最大5%つまり500円分のポイントが還元される。

町ぐるみでキャッシュレス化を進める地域も。

真っ白な砂浜に青い海!

大人から子供まで誰もが魅了される愛らしいパンダ!

そう、ここは観光資源の豊富さから去年、
世界で一番読まれている旅行ガイドブック
"ロンリープラネット"で世界の行くべき地域5位に選ばれた紀伊半島の南紀白浜。

東京から直行便でおよそ1時間…

ここ白浜町で最新技術を使ったキャッシュレス化の取り組みが行われているのだ。

(山本アナ)
「南紀白浜空港の到着口の目の前にあるモニター。見てください。
 ようこそ山本隆弥さんと。私の名前が表示されています」

海の幸を楽しめる料理店では

(スタッフ)
「こちらのカメラにお願いします」
(山本アナ)
「このカメラに?」
「あ、見てください決済完了しました
 お買い上げありがとうございます。」

ここで行われているのは
顔認証技術を利用したサービスの、実証実験。

白浜町のキャッシュレスはスマホではなく「顔」で出来てしまうのだ。

あらかじめ専用のサイトで
名前や顔写真クレジットカードなどの情報を登録しておけば
地域内のあらゆるサービスが「顔」だけで利用できるようになるというもの。
“手ぶら”“顔パス”“キャッシュレス”がキーワードだ。

実際に登録した利用者は。

(登録者)
「ちょっとうれしいですね。ウェルカム感があって
 うれしくなりました」

便利なだけでなく歓迎されているという特別な気分を味わえる。

ちなみに辛坊さん、ご安心を。

お忍びで訪れる際にはニックネームでも登録できます。

そして、パンダで有名なアドベンチャーワールドでは…

入場ゲートのモニターに空港と同じように名前が表示され
専用の扉から奥に入ると…。

(スタッフ9
「ようこそ。山本様ようこそ、お越しくださいました。
 ありがとうございます。」
(山本アナ)
「あ、今聞きました?山本様と…」

実は入口のカメラで認証された
入場者の情報が受付に伝わるようになっているのだ。

(山本アナ)
「(事前に)登録してるんで
 そのデータが表示されてるわけですか
 どうですか、こうやって名前が知れるっていうのは」

(スタッフ)
「そうですね。来られたお客様の名前がわかるというのは
 親近感がお客様も(スタッフも)湧かれるかなと思いますので」

もちろんここでもチケットの購入に必要なのは「顔」だけ。
現金やカードのやりとりがなく“手ぶら”でスムーズに入場できる。

(アドベンチャーワールド 広報担当 松本実夏さん)
「クレジットカードを持って来ていただかなくても
 その場で決済していただくことができるので
 気軽に入って頂けるのではないかなと思います」

観光を楽しんだ後は、宿泊。

(山本アナ)
「扉の前にカメラが付いてますね。
 これは私はどうやって操作すれば良いんですか」
(川田さん)
「カメラに向かってこの前に立ってみてください」
(山本アナ)
「立てばいいわけですか。
 いいですかじゃあ。立ってみますね」
(山本アナ9
「はっ!はやい!ははははは。立った瞬間にあきましたよ!
ドアのロックが解除されて。こうやって入ることができると」

このホテルでは「顔」がルームキーの代わりになるのだ。

顔認証を利用したキャッシュレスやキーレス。
なぜ白浜町は導入を目指しているのか。

(南紀白浜エアポート営業 広報・マーケティング統括
 誘客・地域活性化室 室長 森重良太さん)
「この地域の観光資源っていうのは
 ビーチですとか温泉といった施設が多いんですけども
 水着とか浴衣で観光される。
 そういった時には手ぶらで観光ができるというのが
 この地域にはあっているという風に思いますので
 財布も鍵もなく町じゅうで観光が楽しめる」

リゾート地ならではのニーズに応える解決策が
キャッシュレス化だったというわけだ。

しかし、日本での取り組みはまだ日が浅い。

中国では、町中にある小さな屋台や
ストリートミュージシャンに支払うチップもQRコード決済が一般的。

欧米では手の甲に埋め込んだマイクロチップがお財布代わりに。

来年の東京オリンピックや2025年の大阪万博を控え
政府はインバウンド需要をさらに取り込もうと
早々にキャッシュレス決済の比率を40%まで引き上げると意気込んでいる。

将来、世界最高水準のキャッシュレス社会を目指すとしているが…

(消費生活ジャーナリスト 岩田昭男氏)
「100%キャッシュレスになれば良いとは思っていません」

キャッシュレス化に潜むリスクとは。

(消費生活ジャーナリスト 岩田昭男氏)
「この前あった北海道の地震で大停電が起こって
 そういうときはコンビニが停電で何もできなくなるんで
 スマホや電子マネーの決済ができなくなった。」

リスクはそれだけではない。

(セブンペイ 小林強社長)
「深くお詫び申し上げます」

先週、セブンイレブンのスマホ決済「セブンペイ」が
不正アクセスを受けたことが発覚。
 
サービス開始からわずか4日で事実上のサービス停止に追い込まれた。

問題視されたのは二段階認証の有無。

スマホ決済では多くの場合
IDやパスワードなどを入力する第一段階の後、
事業者からメールなどで認証コードが届き、これを入力することで
本人確認が完了する二段階認証が使われるのが一般的だ。
しかし、この一連の手続きがセブンペイでは不要だった。

問題の背景についてITに詳しい専門家は。

(ITジャーナリスト石川温氏)
「セブンペイとしては
 (ファミペイを意識し)かなりサービス開始を焦ったのかなと。
 突貫工事で作ってしまったためにセキュリティに
 穴があったという風に考えられます」

さらにおととい。
 
外部IDで接続するシステムに欠陥がある可能性を指摘され
フェイスブックやラインなど五つの外部IDによるログインを一時停止したと発表。

「セブンペイ」は二段階認証の導入など
セキュリティ対策を強化するとしているが
サービス再開の目途は立っていない。

(石川温氏)
「すでにサービスを提供してしばらく経っているものに関しては、
 本人確認がしっかりしているので
 こういった問題は起きないのかなというふうには思います。
 新しいサービスが始まる場合には少し様子見をして
 実際に問題なく使えるかどうかしばらく待ってから
 使ってみるというのが良いのかなと思う」

本格的なキャッシュレス社会到来を前に見えてきたメリットとデメリット。
 
利便性だけを優先して安全性がおろそかにされることがあってはならない。

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