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特 集

2019/01/12

特集01

オーバーツーリズム…京都“観光先進国”ニッポンへの課題

 四季折々のたたずまい…情緒あふれる京都。
 そんなん、もぅ幻想どっせ。

<去年8月安倍首相:観光戦略実行推進会議>
「2020年に外国人旅行者数は4000万人という大きな目標の達成が
 いよいよ視野に入ってまいりました。
 観光を地方創生の起爆剤として観光先進国を目指してまいります」

 アベノミクスの看板政策かなんか知りませんけど、
 いま京都に来はる観光客は年間5300万人。
 ほんまにこれで活性化するんやろか・・・。

 京都の現状、知ったはりますか?

 今週月曜日の祇園。
 観光客が押し寄せ警察官も出動、物々しい雰囲気だった。

 観光客のお目当ては…舞妓さん。

<2006年の祇園:記者>
「舞妓さんが乗ったタクシーが巻き込まれています」

 祇園では数年前から写真を撮ろうとする観光客に舞妓さんが囲まれ
 身動きが取れなくなってしまう迷惑行為が多発。

 さらに、自撮り棒での事故や食べ歩きによるポイ捨てが目立ち、
 外国人にも理解できるようにとマナー啓発のための看板が立てられた。

<祇園町南側地区まちづくり協議会:高安美三子さん>
「ここらは観光地と違う文化のある町ですが、来てくれるなとは言えないが
 祇園としては迷惑です」

 京都に押し寄せる観光客。
 ピーク時ともなると嵐山も多くの人。

<ウェークアップ!ぷらす:藤田ディレクター>
「多くの人でにぎわう嵐山。いまスマホを使った実験が始められています」

 国交省と京都市が共同で行った実証実験が「嵐山快適観光ナビ」。

 観光客がスマホを使いホームページにアクセス。
 「渡月橋エリア」や「竹林エリア」など、行きたいエリアを選ぶと
 1時間ごとの混雑度が表示されるというもの。

<京都市産業観光局 楢山雅晃 計画推進係長>
「混雑状況を見える化することによって観光の需要を分散化させて
 ストレスの無い観光地を目指す」

 すいているエリアと時間帯を案内するためだというが、
 この日は、ほとんどのエリアが1日中大混雑を示す表示で「真っ赤」。
 紅葉の季節、嵐山にすいている場所など無かったのだ。

<観光客>
「車も混んで…」
「人が多すぎるわ…」

 京都市が行ったアンケート調査では、
「京都観光を残念に思った」割合が46%に上る。
 その理由で一番多かったのが「混雑」。

 混雑!?
 たまにお越しになる観光やったらよろしおすやん。
 私ら市民にとっては日常どっせ。
 道は大渋滞で車で出かけられませんし、
 救急車や消防車が来られるんやろかと心配してます。
 それに、市バスも大混雑。乗れませんし、歩道も歩けへん。

<龍谷大学政策学部:服部圭郎教授>
「キャパオーバーっていうのは明らかですよね。
 ここまで増えるとは思わなかったですから。
 ただ、これからさらに観光客は増えると思います」

 都市政策の専門家は、京都市を訪れる観光客の数が交通インフラなども含め、
 都市としての許容範囲を超えていると話す。

 これが日本各地で叫ばれ始めている「オーバーツーリズム」。
「観光公害」なのだ。しかし…

<門川大作 京都市長>
「旅館・ホテルの増設が必要」

 京都市の門川市長は宿泊施設の増設を訴える。
 今後、客室が1万室不足すると試算されているからだ。
  
 そこで今、京都市内では宿泊施設が急増中。
 4年間で3倍を超える3200軒に増加。

 ここも…お隣も…角をまがったこちらも…そのお向かいも。
 道を歩けば宿泊施設にあたるのだ。

 そんな施設の営業許可を示す看板を見ると、
 経営しているのはほとんどが京都以外に本社を置く会社。
 外国人の名前もあった。

 看板に名前があったチョウ・イチハンさん。
 京都市内で70軒の町家を修復しゲストハウスとして経営している。

 いま、町家は中国からの観光客を中心に大人気だという。

<京恋清水:チョウ・イチハンさん>
「京都で長い時間滞在したい…京都で生活したい。
 中国人からその話を聞いて叶えてあげたら日本に対してもいいし、
 僕に対してもいいしビジネスにもなる」

 祇園や清水寺など京都の代表的な観光地を抱える東山区の高齢化率は現在、
 全国平均を大きく上回る33点5%。
 住人がいない「空洞化」が顕著に進む。

 放置され、消えゆく町家を次世代に残すことに宿泊施設が一役買っているのだ。
 
 しかし!

<チョウ・イチハンさん>
「中国も投資対象が少なくなってきているんで、
 それだったら京都はバブル崩壊から30年くらい地価が落ちてきているので、
 投資としてチャンスじゃないかなと思って」

 京都市内の宿泊施設不足は絶好のチャンスとばかりに投資の対象となっているのだ。
 投資会社の代表でもあるチョウさんのもとには、
 いま200億円近くが集まっているという。

 高まる投資熱は地価を押し上げた。
 去年、上昇率12、5%で全国トップとなった京都市。
 バブルさながら、庶民にはマイホームに手が届きにくい状態に。

 そんなこともあってか、
 子育て世代の30代の多くが周辺自治体に引っ越す現象が起きている。
 さらなる空洞化が進んでいるのだ。

 観光!観光!言うて、毎年ほんまにぎょーさんの観光客が来たはるけど、
 さぞかし京都市には税金もぎょーさん落ちてるんやろねー。
 市民にももっとサービスしてほしいわ。

 観光消費額が1兆1千億円を超える京都。
 しかし、市税収入はここ10年2500億円前後で増加していない。その理由は…。

<門川大作 京都市長>
「宿泊施設や飲食店といった観光業で働く人の75%が
 非正規雇用であることと無関係ではないと考えています」

 観光業に従事する労働者の多くが「非正規」。
 賃金が上がらず、住民税の伸びが期待できない。
 さらに、古く低層の建物が多い京都市内は固定資産税の評価額が低い。
 そして法人税は大部分が国の税収となる。

<財団法人 日本交通公社観光政策部 山田雄一部長>
「京都の観光振興はうまく行きすぎてしまったところある。
 自治体としては観光振興をやればやるほど
 実は貧乏になってしまうという構造がある」

 観光政策の専門家は、地方自治体が観光振興に成功し
 観光客の数が増えれば増えるほど支出が増え、
 たとえ税収が上がっても国からの地方交付税交付金が削られる現状があると指摘する。

 そこで京都市は、独自の財源を確保するため宿泊客から最高1000円を徴収する
 宿泊税を去年10月スタートさせた。
 年間45億円ほどの税収が見込めるというが
 増加する観光客に対応するため歩道や外国語の看板の整備、
 観光トイレの設置などに費やされる金は年間数十億円にのぼる。

 オーバーツーリズムによる観光公害に悩まされることなく
 住民が平穏に暮らし、さらに地元が潤う…。
 そうなるためにはどうすればいいのか。

<龍谷大学政策学部:服部圭郎教授>
「京都ナンバーじゃない車は京都市内に入れないよう制限をかけるとか、
 入るためのお金を徴収するとか」

 服部教授は車や人の京都市内への流入規制と
 観光客が支払う公共交通機関の料金などの値上げが必要だという。
 そして…

<財団法人 日本交通公社観光政策部 山田雄一部長>
「定住人口を基準に交付金が決まる。
 だから観光客が増えている自治体でも予算が全く増えない。
 今の定住人口だけではなくて、ある種ボーナス的に、観光客を維持するための
 コストとして、交付税を増やしてあげるとか、別の予算をつけてあげるとか、
 そういったことは、これから人口が減っていく日本の中で地方の財源として
 大切なんじゃないかなと」

 京都の現状は時代の流れかも知れない。
 しかし、このままで日本は「観光先進国」になれるのだろうか?

 アベノミクスの看板政策「観光で成長」もよろしおすけど
“ちょっと”考えはったらどーどすか。

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