アニメ「宇宙兄弟」にJAXA（宇宙航空研究開発機構）宇宙飛行士の星出彰彦さんが本人役としてゲスト出演する事になり、世界で初めて宇宙からアフレコに挑戦する事が決まった。星出さんは人類の宇宙での歴史に新たな足跡を残す事となる。７月15日、星出さんを乗せた宇宙船のソユーズはカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からISS（国際宇宙ステーション）に向けて打ち上げられる。ISSには４ヵ月の滞在を予定。無重力と骨量減少の関連を調べるメダカの飼育実験のほか、小型衛星５基の放出実験などの任務に携わり、アフレコはこの期間中に行われる。星出さんの宇宙飛行は２度目。「宇宙兄弟」に本人役で登場する宇宙飛行士は野口聡一さんに続いて２人目となる。
　ISSにいる宇宙飛行士のテレビ出演、子供たちとの交信イベントなど、JAXAでは毎回ISSに出発する宇宙飛行士とやりたい事を募集。毎回たくさんの企画が応募されるが、採用されるのは様々な審査を通った数件のみ。そして今回、星出さんがISSでアニメ「宇宙兄弟」のアフレコに挑戦するという世界的にも例のない夢の企画が採用された。気になる星出さんの出演シーンは弟、南波日々人の回想の場面。子供の頃、日々人と兄の南波六太は筑波宇宙センターから宇宙にいる星出さんと通信する交信イベントに参加して質問していたという設定。その時、「将来、絶対に宇宙に行く」と誓った日々人が宇宙に飛び立つ直前に星出さんの事を思い出すという重要なシーンになっている。宇宙飛行士の試験を２回受けている星出さん。１度目は応募資格を満たさなかったために断念しており、実質３回目の挑戦で合格した。このシーンは諦めずに頑張れば夢は叶うという子供たちに向けての熱いメッセージが込められており、原作にはないアニメオリジナルとなる。
　アフレコは９月中旬を予定し、台本のデータはJAXA筑波宇宙センターからISSに送信。当日はアニメのスタッフが筑波宇宙センターを訪れ、通常の収録と同じように監督が管制室から宇宙にいる星出さんに指示を出してアフレコを行う。人生初のアフレコに挑む事が決まった星出さんは「演じるなんてできないから演じなくて済むようにして下さい」と心配していたが、８月９日にはアニメの設定と同じように東京・墨田区のスカイツリーのプラネタリウムと国際宇宙ステーションを繋ぐ交信イベントに参加し、子供たちの質問に答える予定。星出さんは普段と変わらずに自然体のまま演技する事になる。野口さんが出演した時と同様、先に星出さんの台詞を録音し、後から声に合わせてアニメ画を描く方法を採用する。
　「宇宙兄弟」はJAXAやNASAの話を描いている事も多く、読売テレビはこれまでもJAXAへ協力を依頼。訓練や打ち上げなどの描写はリアルさを追求していて、今回も実際の宇宙の音声を使う事によってリアルな通信シーンを再現する。星出さんの宇宙アフレコについて、読売テレビの永井幸治プロデューサーは「宇宙ステーションの中の音をそのまま使えるなんてなかなかない事。周りの機械の騒音も含めて、向こうで星出さんが喋ってくれる音をそのまま録れれば良いと思っています。星出さんには台本の内容を見てもらい、それをもとに自分の言葉で喋ってもらう予定です」と話している。今回のアフレコのシーンは星出さんのストレートな言葉、細かいノイズにも注目して聞いて欲しい。
　この宇宙からのアフレコ企画は視聴者も参加できるチャンスがあるのがポイント。日々人と六太が質問する前に他の子供たちも星出さんに質問するシーンがあり、この質問を一般の方から大募集する。選ばれた質問は劇中の台詞として採用され、実際に星出さんが質問に答えてくれる。ぜひこの企画に参加したいという視聴者は、星出さんに聞きたい事、住所、氏名、年齢、性別、電話番号、番組の感想を明記の上、番組HPの応募フォームから応募して下さい。締め切りは８月19日。星出さんが登場する回は11月上旬に放送。果たして、星出さんは六太や日々人、視聴者にどんなメッセージを伝えるのか？　星出さんと六太、日々人の夢の共演をお楽しみに！

星出彰彦プロフィール

1968年　東京都に生まれる
1992年　慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業
1997年　UNIVERSITY OF HOUSTON CULLEN COLLEGE OF ENGINEERING航空宇宙工学修士課程修了
1999年　NASDA（現JAXA）よりISSに搭乗する日本人宇宙飛行士の候補者として選抜される
2001年　宇宙飛行士として認定される
2008年　スペースシャトルディスカバリー号による１Jミッションに参加