宇宙兄弟

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#95

2014年2月22日
「俺らの将来」

温和なリーダー・エディが合流したことで、ようやくまとまり出したCES−62のバックアップクルー。

その夜、デザートラッツ訓練場の施設の前では、たき火が焚かれていた。たき火を囲むのは、エディ、ベティ、フィリップ、カルロ、アンディ、六太の6人全員。火を囲んで話すと、人は嘘を付けなくなるらしい。自分の事、家族の事を正直に話せば、互いに親睦が深まるというエディの考えだった。

六太が日々人のPD(パニック障害)と復帰試験の事を話し終わると、次はベティの番となった。実は8歳のクリスという息子がいる彼女。出産と育児のために、宇宙飛行士を退いていた時期があり、まだ宇宙に行ったことがないという。そして彼女の夫は、宇宙飛行士の故タック・ラベルだった。

タック・ラベルは、CES—43クルーとしてブライアンと一緒に月へ向かい、帰還時の事故で帰らぬ人となってしまった。事故直後、ベティはもう自分は宇宙飛行士には戻らないと思っていた。だが、それから三年ほど経った今、クリスがまた宇宙に興味を持ち始めたらしい。

「ねえママ。月から見た地球ってどんなかな?」
ベティはそれを嬉しく思い、父親の代わりにその問いに答えようとしているのだ。

翌日、正規クルーと合同した六太たちは、デザートラッツでの最後の訓練を始めようとしていた。現場にはピコ・ノートンがおり、自らが開発の指揮をとった『新型の月面着陸船』について説明した。

訓練後、ピコは幼馴染であるビンスと酒を酌み交わしながら、少年時代にリックとした『約束』を語った。
「いつか、リックが管制官になり、宇宙飛行士になったビンスに指示を送る。そのビンスは俺の作った、宇宙船に乗る——」

リックはもういないが、もうすぐ夢が叶うところまで来たというピコ。なぜなら、ピコが作った船でビンスが月へ行った時、管制室から着陸の誘導をするのは、キャプコム担当の宇宙飛行士、『リックによく似た、六太』なのだから——。

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