宇宙兄弟

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#94

2014年2月15日
「ワクワクチームワーク」

月への訓練のため、砂漠にあるラバフロー試験場でキャンプ生活をすることになった、六太たちCES—62のバックアップクルー。
相変わらずまとまりがないメンバーは、朝のジョギングもバラバラで、食事も好き勝手に取っていた。仲が悪いというほどではないが、このままだとこのチームでミッションにアサインされることはないかもしれない。
『このままではまずい』、さすがの六太もどうしたものかと思っていた。

しかし、その不安はすぐ解消される。
六人目のメンバー、ベテラン宇宙飛行士であるエディ・ジェイが到着したのだ。

「リーダーつっても俺も月は初心者だ。君らと同じ。だから初めて月に立った時——その喜びも君らと同じだろう。ともに、月に立とう」
六太にも一瞬でわかるほど、エディは『安心と興奮を同時に与えられるようなリーダー』だった。

エディがリーダーとなってから、チームの雰囲気が変わっていった。まず食事は簡易食品ではなく、メンバーが交代で作るようになったのだ。しかし最初の当番はベティ。一週間分のコショウが入ったまずい料理だった。

そしてさらに、エディは朝のジョギングも趣向を変えるという。その説明のため、前の晩からリハーサルを始めようとしていた。

「キャンプのまわりをぐるぐる回るのをやめるんだ。もっとワクワクするやり方がある」

まず6人全員が車に乗って、キャンプ地から数キロ離れたどこだかわからない場所で降ろされた。そこからジョギングを開始し、キャンプに向かって決められた時刻ちょうどに着くように走るというもの。到着は目標時間より早すぎても遅すぎてもダメ。
時計を持っていいのはリーダーのエディだけなので、メンバーはエディにくっついていくしかなかった。
始めて並んでジョギングする一同。

「どしたぁみんなぁ。もっといつもみたいにバラバラに走ってもいいんだぜ?」

これまでバラバラだったチームは、エディのおかげで、確実にまとまり始めていた。

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