宇宙兄弟

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#88

2014年1月4日
「プリティ・ドッグ」

バトラー室長に頼み、PD(パニック障害)を克服したと証明する、『復帰試験』を受けることになった日々人。だが、試験への気合は十分だったが、失敗したら二度と宇宙へは行くことができない。そのため、不安を感じていた。

その不安を少しでも和らげようと、亡きブライアンの墓参りをする日々人。
彼の生前、何かに悩んだ時に問いかけると必ず答えが返ってきた。
日々人はその存在を今でも頼ってきたのだ。

『NASAの上官たちの見てる前で、もし発作が出てしまったら——。あんたなら……どうするブライアン……』

この日はブライアンの命日だったため、墓地には吾妻もきていた。
悩み苦しんでいる日々人に、吾妻は一つアドバイスをする。

『ヒビトも壁にぶち当たったときは、俺たちの兄貴に話しかければいい。それでもダメなら、本当の兄貴に話せばいい。お前にはいるだろ——もう一人の兄貴が』
日々人の心の中にいるブライアンも、兄・六太に相談しろと言っているようだった。

その夜、日々人は六太を呼び出し、いま自分がPDで、前線から外されていることを告白した。さらに日々人は、来週には復帰試験をするというのに、ここへ来る時、タクシーで見た悪夢が原因で、また発作が出てしまったことを話す。予想以上に深刻な相談を受けた六太だったが、弟・日々人の悩みを受け止めようとしていた。
そして、今後また発作が出そうになったらこうつぶやけとアドバイスをする。

『来たなこのPD野郎、プリティ・ドッグめ』
そうすれば、いやでもプリティ・ドッグに似たアポの顔を思い出せるからだ。

帰り際、六太は日々人に、『タクシーの中で発作が起きて安心した』と伝えた。それは、宇宙服を着ているかどうかは発作と関係ないということが証明されたからだった。
憧れ続けた宇宙服が原因であるはずがない。宇宙服は六太たちの味方なのだ。日々人にとってPDの意味はパニック障害ではなく、プリティ・ドッグに変わっていた。

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